†狂ったアナタは王子様†【実.況.者】

____…第37話…____ ページ37

…普段の国王は、平然と笑顔で嘘をつくから、これも嘘かもしれない。
というか、どれが本当か分からない。まあ、信じようか…


「…僕だって、反省してるんだよ。もう絶対に人は殺さないって、みんなで約束したもん。」

「つまり、国王は人を殺してないんですね?」


むすっと頬を膨らまし、頷いた。


「あの兵士さん2人を、殺してなんかない。
でも、どーせキヨとフジは、僕が『約束を破って、また人を殺した』とか勘違いしてるんだろーなー。」


コロンッと草むらに寝っ転がり、はぁーとため息をつく彼。

へー…反省してたんだ。
ていうか、なんか今日、国王……


「国王、どうしたんですか?いつもは笑ってばっかりなのに、今日は表情豊かですね。
ふてくされたり、ため息ついたり。」


国王がため息を着いてるのなんて、初めて見た。

すると、仰向けになっていた彼は、くるっと横になり、私の方を見た。



「2人目!!」


なんて意味の分からないことを言い出したので、とりあえず首を傾げる。


「僕が人の前でため息をついたの、秘書が2人目だー!!
1人目はこーすけだったんだけど、まさかこーすけ以外の人の前で、ため息が出るとは思ってなかった!!」


左手を枕にして、ニコニコ嬉しそうに話す国王。

…何が言いたいんでしょうか?


「つ、ま、り!!僕は、秘書に心を開いたんだよ!!」


嘘だろ(真顔)
そのふざけた言い方からして、絶対に心を開いていない。

いつものニコニコした表情に戻ってるし。

はぁ……これじゃあ、好きになってもらえるのなんて、いつになる事やら……



「もう遅い時間だし、国王、絶対 眠たいですよね?早く寝て下さいね。ここで寝ないで下さいよ?」

「はーい。おやすみー。」


ヒラヒラと手を振った国王は、コロコロ転がっていた。

いや、本当にあそこで寝ちゃいそうで怖い………




* * *




人前でため息をついたのなんて、いつぶりだろう。

なんか、相手に隙を見せた感じがして、すごく嫌だ。あー、もう。


何かを振り払うように、懸命にゴロゴロ転がる。頭がおかしい人だと思われるかな。



あの子の近くにいると、こーすけと同じくらい安心するんだもん。


腑に落ちないけれど、少しだけ心を開いてしまった。

ヘリから降りた途端、僕の居場所なんてお見通し、みたいに、真っ直ぐ湖に向かって来てくれた。


まあ、正直嬉しかった。僕の所に来てくれて。




「………あ……」

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