____…第36話…____ ページ36
「ほんっと、ただの役立たずメイドかと思ってたけど、案外すげえな。お前。」
「キヨ様、そんなに言わないであげて下さい。リンは、ほとんどの乗り物の免許を取得しております!」
妹の自慢でもするかのように、自慢気に話すミク。
そうだよね。いつもリンさんのことをガミガミ怒ってるけど、
彼女をよく分かっていて期待しているのは、ミクだもんね。
まさか、リンさんにこんな才能があったとは……と、立っていたキヨがフラついたので、支える。
見ると、眠っていた。
いくらミクの手当てとはいえ、あんな大怪我だったもんな。椅子に座らせ、私もその隣に座った。
「おー!久しぶりだなー!!狂気王国!!」
一度寝て、起きたキヨは、すっかり元気になっていた。化け物だコイツ。
ヘリコプターのプロペラの音がうるさくて、国民全員が起きてしまった。
でも、みんな、離陸した時、笑顔で「おかえりなさいませー!」とか「どちらにお出掛けを?」なんて
笑顔で言ってくれた。こんな夜中なのに。みんな、優しいな。
「フジさん、今日は散々でしたね。」
「緑川さんもね。俺のせいなのに、巻き込んじゃってごめんね。」
フジお母さん。アンタは何も悪くねえ。
みんなが伸びをしてお城に入って行く中、私は、クルッと回れ右をした。
そして、彼と最初に出会った、場所へ行く。
空気が澄んでいて、魚の跳ねる音が聞こえる。
木々が揺れ、真っ暗なのに、ここだけなぜか少し明るい。本当、いつ来ても神秘的な世界だ。
「国王ー。いつまで落ち込んでるんですか。」
「落ち込んでなーい。」
出た。笑顔の強がり。
後ろに手をついて 湖を眺めている国王の隣に、体育座りをする。
レトルトさんに、ずっと気にしていた事をズバッと言われて、ショックだったんだろうな。
あの後、一度も口を開かず、下を向いたままだったし。
「その血のついたパーカー、早く洗いません?」
「だからぁ…トマトケチャップだって言ったでしょ。」
「…え。それ、本当にトマトケチャップなんですか……?」
コクッと頷く国王。
え……冗談じゃなかったの?
「あの時 秘書はいなかったし分からないだろうけど、僕、2人の兵士さんに剣を構えられたのね?」
「は、はい。」
「その兵士さん、よろいを着てた。
だから、よろいの中に入っていた人を引きずり出して、お城から落っことしたの。
それで、空になったよろいだけ真っ二つにして、トマトケチャップをぶっかけたの。」
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上！！(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです！ (2021年7月25日 14時) (
レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...！(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…！！感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか！影葉さん最高です( ；∀；)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね！？これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます！狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです！影葉さん、感動をありがとうございました！ (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い！死にそう！ (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影葉
| 作成日時：2015年12月5日 14時
