トラブルメーカー ページ5
一見馬鹿っぽくて、いや本当に馬鹿なんだろうけれど、そんな一言により辺りは一瞬で静まり返る。
｢看守殿、飯にしよう｣
しかし、そんな空気とは一転当の本人である１１４５･･もとい桂小太郎はくるりと私に向き直りスタスタと歩いていってしまう。
なんていうか、出会ったことのない不思議な人だった。
｢盆を持ってそこのカウンターでご飯を受け取ってください。箸は進んだ先にあります。席は空いているところを使ってください｣
滝のように言葉を紡ぎ、説明すれば彼はフムフムと頷きを見せた。
｢看守殿の朝飯は？｣
｢私はまだ公務がありますので。朝食が終わり次第労働になります。係の者の説明に従ってください。それでは私は失礼します。｣
１１４５がなにか言おうとしていたが、それを遮って言葉を言い切り踵を返した。
なんだか彼と一緒に居ると調子が狂ってしまいそうだ。
ここに来る一般的な囚人は荒くれ者が多い。
特に私が担当になれば、舐めてかかってくるものも少なくはない。
｢おい、A｣
このように、私に突っかかってくるような囚人も珍しくはないのだ。
グイッと腕を引っ張られ、死角まで連れてこられれば放り投げるように私をすみに投げ飛ばした。
この囚人の名前は既に覚えてない。先ほた朝食前にも絡んできていた例の囚人である。
いつも三人組で行動する、前科は全員殺人罪。
囚人番号６１、５５５、１０１０だ。
囚人番号はこの獄門島へ投獄された順番で番号が割り振られている。６１なんかはかなり長くここにいてもう何十年も投獄されている。
｢いった･･･｣
隅にぶつけた尻を摩って投げ飛ばした相手を見上げれば、かなり機嫌悪そうにギロりと睨みつけられた目が合った。
｢テメェ、朝っぱらからよくまぁ恥かかせてくれるじゃねェか｣
胸ぐらを掴み挙げられ、身動きが取れない。
抵抗する術もない。
刀を抜いたところで、こんなものはただの飾り。私には扱うことが出来ない。
迫り来る拳にギュッと目を瞑り――
｢おい｣
しかし、次に来た衝撃は顔面になんかではなく、ドサりと音を立てて落下したお尻。
｢ンだよ、鯱じゃねェか｣
｢看守いたぶるたァいい趣味してるな。･･バレりゃ服役できねぇぞ｣
｢ッチ｣
軽い舌打ちとともにゾロゾロと去っていく囚人。
｢おい、トラブルメーカー｣
そう言って鯱は私に手を差し出した。
｢ありがとう･･鯱。｣
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ゆり(プロフ) - あれ？終わりですか！？とても面白かったので残念です…。 (2017年5月7日 13時) (
レス) id: 16a2a2c0ee (このIDを非表示/違反報告)
蝸牛 - かっこいいです！更新頑張ってください！ (2017年1月21日 11時) (レス) id: 9c8917c2ad (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 続き気になります!!更新頑張ってください!!!! (2016年11月9日 6時) (レス) id: a243a73ee4 (このIDを非表示/違反報告)
霧助(プロフ) - かぁつらさん！！イケメンですね！更新頑張ってください！ (2016年8月23日 13時) (レス) id: 680443222a (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 紅夜桜さん» コメントと誤字訂正ありがとうございました！がんばります！！！ (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神阿 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/
作成日時：2016年6月19日 22時
