検索窓
今日:4 hit、昨日:16 hit、合計:27,110 hit

人の心 ページ22

自分の無力さに嫌気がさす。


着物を握る手に力がこもると、じんわりと着物に赤いしみが広がった。

そんな私の様子を見かねて、赤いチャイナの女の子は私の手に白い透き通るような肌をした手を添えて、元気づけるように言った。



「心配しなくても大丈夫アル!ズラは間抜けだけどタフな奴ネ!」
「私、悔しいんです。・・桂さんには助けてもらってばっかりなのに」



私はまだ何も恩返しできてない。


毎日見回りを押し付けられることもなくなった。罵声を浴びせてきた囚人から守ってくれた。字の書き方を、読み方を、教えてくれた。人が暖かいのを教えてくれた。

ずっと獄門島にとらわれていた心を救ってくれた。


桂さんは私を助けてくれてばっかりなのに。



「私は、力があるわけでも頭がいいわけでもない、けど・・桂さんを助けたい」



獄門島には凶悪犯ばかりが捕らえられていた。

私も何度も見たことがあるわけではないが、脱走しようと試みたものは獄門島、そしてこの今いる本島からも応援が来て、武力で制圧されてしまう。

ましてや桂さんは処刑が決まっていた。

下手をすればその場で殺 されかねない。



「Aさん・・」



私の意志に、メガネの男のことチャイナの女の子は顔を見合わせ、やがて頷いた。



「A私たちは頼めばなんでも依頼を受ける万事屋言うアル」
「Aさんの依頼はなんですか?」



顔を上げると優しく微笑む男の子と女の子が居る。



「私の、依頼・・?」
「そうアル!Aが今一番願ってることを言うヨロシ」

「私の願い・・。私の願いは――


―――桂さんを助けたい」



「だってヨ、銀ちゃん」



私がそう言うと、さっきまで社長椅子にドッカリと腰を下ろしていた銀髪の男の人は深いため息をついた。



「報酬はたんまりいただくからな、ズラから」



木刀を腰に差し立ち上がるその人。



「オラ、行くんだろ、ズラ助けに」
「はい!」



――人の心は温かい。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←わたしのせい



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 桂小太郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆり(プロフ) - あれ?終わりですか!?とても面白かったので残念です…。 (2017年5月7日 13時) (レス) id: 16a2a2c0ee (このIDを非表示/違反報告)
蝸牛 - かっこいいです!更新頑張ってください! (2017年1月21日 11時) (レス) id: 9c8917c2ad (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 続き気になります!!更新頑張ってください!!!! (2016年11月9日 6時) (レス) id: a243a73ee4 (このIDを非表示/違反報告)
霧助(プロフ) - かぁつらさん!!イケメンですね!更新頑張ってください! (2016年8月23日 13時) (レス) id: 680443222a (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 紅夜桜さん» コメントと誤字訂正ありがとうございました!がんばります!!! (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/  
作成日時:2016年6月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。