【銀魂】 看守と囚人

変な囚人 ページ3

獄門島。

江戸屈指のこの離れ孤島は、極悪犯罪者の収容施設。

周りは海で取り囲まれ脱走が不可能なことから、ここに入ったが最後。死ぬまでシャバの空気は吸えないと囚人たちは噂している。


ここに連れてこられた者は皆、絶望に明け暮れた表情をしている。



「監守殿、おい監守殿」


しかし私は変な囚人に当たってしまったものだ。



「１１４５、就寝時間です。今日は寝てください」

「１１４５ではない。桂だ」



全く話にならない。

ここでは囚人は決められた番号が名前の代わりに充てられる。
しかし、彼はその番号で呼ばれることを頑なに拒み、桂と呼ぶことを主張する。



「早く就寝しなければ、看守長をお呼びしますよ」



そこまで言えば、さすがの彼も黙ってしまい溜息一つにゴロンと藁のひかれたベッドの上に寝転がった。



「監守殿、おやすみ」


就寝したかと思えば、そんな声が飛んできて動揺で持っていた刀を落としてしまった。
監守に挨拶をする囚人なんて初めて見た。

刀を拾い上げつつ立ち上がれば、クスクスと聞こえてくる笑い声。


「おいおい、あそこの囚人大丈夫かァ？」

「Aにおやすみだってよ！」

「動揺して落としてやがらァ、だっせェ」


汚い笑い声はいつものこと。
ここの囚人たちは凶悪犯ばかりとあってか、態度も悪い。


「早く就寝しなさい」


「おーおー監守様がお怒りだぜ」



クスクスとまた暗い廊下に響く笑い声。

もう慣れっこだ。随分と前から。





「A、今晩も頼むわ」
「・・はい」


監守室に戻れば伝えられる夜勤命令。
カツンカツンと廊下に響く足音も、もう慣れっこだ。

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