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心配するな ページ18

牢を隔てて手を握れば、桂さんの隣に居たエリザベスは高速回転するドリルを地面に向け掘り進めて私の元まで来た。


「おい、なにしている!」


すぐ近くで聞こえた看守の声に振り向くまでもなく、エリザベスにわきに抱えられ、穴を下っていく。
穴の中から響く、「脱走だー!」という声に、焦りが募った。

さっそく見つかってしまった。

冷や汗が背中を伝ったとき、私を抱えたエリザベスの隣を走る桂さんが、私の手を握った。


「大丈夫だ」
「でもここは獄門島です!でられるわけないッ!」

「入ってこられたのだから出られるだろう」


あまりにも自信満々にそう言う桂さんに、なんだか私も大丈夫なのではないかという気さえ起きていた。

だけど、私はずっとここで働いて来たのだ。いかなる脱走者も許さない獄門島。
淡い期待は光が見えた瞬間に消えて行った。


「囚人番号1145、看守を連れて出て来い」


呼びかけられた先に見えたのは、小型の飛行船。
脱走者が出たときのために常に整備されているそれは、小さくはあるが大砲まで積んでいるのだ。

見たことはあれど、実際に使っている光景は初めて見た。
大砲の先がこちらを向き、ゾッとする。


『どうしますか、桂さん』


桂さんはエリザベスのプラカードを見て、フッと息をついた。


「エリザベス、A殿を頼む」
『はい』


その瞬間、ドリルで掘られた反対方向の道へ走って行くエリザベス。



「待って、桂さんがッ!」


桂さんは、スタスタと光の方向へ進んでいく。


「A殿、心配するな」

「まって、ねえ、エリザベスさん!まって!」


いくら暴れても私を放さないエリザベス。
そして、涙と一緒に飛び出した先には一隻の船。




「桂さんッ!!」


反対側から、微かな大砲の音が聞こえた。

港→←私の気持ち



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ゆり(プロフ) - あれ?終わりですか!?とても面白かったので残念です…。 (2017年5月7日 13時) (レス) id: 16a2a2c0ee (このIDを非表示/違反報告)
蝸牛 - かっこいいです!更新頑張ってください! (2017年1月21日 11時) (レス) id: 9c8917c2ad (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 続き気になります!!更新頑張ってください!!!! (2016年11月9日 6時) (レス) id: a243a73ee4 (このIDを非表示/違反報告)
霧助(プロフ) - かぁつらさん!!イケメンですね!更新頑張ってください! (2016年8月23日 13時) (レス) id: 680443222a (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 紅夜桜さん» コメントと誤字訂正ありがとうございました!がんばります!!! (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/  
作成日時:2016年6月19日 22時

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