【銀魂】 看守と囚人

長所と短所 ページ11

「看守殿！」


すっかり聞きなれた声に振り向けば、長い髪を揺らしながら１１４５が私の前にかけてきた。
要件はなんとなくわかっている。



「なぜ昨日は来なかった」



彼の大きな手が私の肩を掴んだ。
ビクリと大きく肩が揺れたとき、１１４５はハッとして私の肩から手を下ろした。



「す、すまない。びっくりさせる気は」
「すみません。昨日は非番だったので」

「おーおー、看守様、こんなところで仕事をさぼって囚人とイチャコラか？」



ありきたりな嘘ですぐにその場を離れようと試みたが、会えなく失敗。
声をかけてきたのは、いつも私に突っかかっては仕事を押し付ける看守だ。

看守はわざとらしく私の肩に自分の肩をぶつけて通り過ぎざまに言った。



「犯罪者同士お似合いなんじゃねェのか？お前も牢獄の仲間入りだな。俺が見張ってやるよ」



ゲラゲラと汚い笑い声に、１１４５はムッとした顔をした。
正しくないことを正しくないと口に出せることが、１１４５の良いところであるがそれは時に悪いところでもある。

すぐさま通り過ぎようとした看守の肩に手をかけようと腕が上がるが、咄嗟にその手を抑え込んだ。



「お願いします、口を出さないでください」
「だが、」

「今日は、絶対に行きますから」



何か言おうとした１１４５の声に被さるように早口で言うと、１１４５はそれ以上なにも追及してくることはなく、ただ静かに「わかった」とだけ返事をした。

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