アン・エンカウンター(2) ページ19
安心……ということにしていよう、うん。
私は手に持った携帯電話を見つめる。
シルバー色のそれは、先月買い替えたばかりの最新型……いわゆるタッチパネル式の代物だ。
その時に電話番号もアドレスも一新したのだが、連絡先は友人数名と職場、学校にしか教えていない。
「……でもまぁ、一人の時間なんてホントに久しぶりだし。もしこの携帯がバイト関係で鳴ったら……」
ひんやりとした携帯の温度が、やけにおどろおどろしい。
「……まぁその時はその時で川にでも投げ捨てよっと!」
私は思考を放棄すると、再び歩き出した。
自然界に限りなく近いような環境で育った私が、コンクリートのフライパンの上に立つこと事態が地獄に身を投げるような行為だと思う。
だが、どのビルでも中に入ればそこは天国。
ぶっちゃけ、人工の冷風に勝るものなどない。
それに、わざわざ私が街に出てきたのは、半分その「冷風」目当てみたいなものなのだ。
現在、私が寝泊まりさせてもらっている場所の人間は随分とケチらしく、電気代にとてもうるさい。
「クーラーごときでどうしてそこまで」とは思うのだが、居候の身。身勝手には動けない。
あちらにも金融面では色々あるらしいので、一応は了承した。
しかしだからといって、夏が治まるわけではない。
携帯と財布をポケットに突っ込み、サンダルをかかとに引っ掛けると、私は涼気を求めてフラフラと外へ出た。
フラフラとはいうものの、別に行くあてがないわけでもない。
明日は、別で暮らしている妹と会うことになっている。
その時に渡すプレゼントを、今日は店内で涼みがてら購入しようという予定だ。
まぁあの子のことだし、可愛い文房具でも買ってあげれば、おそらく喜んでくれるだろう。
だがここは姉の心の広さを見せてやらなくてはいけない。
最近はお金も浮いているので、奮発してあげようではないか。
23人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘寧(本人) - あすみさん» あすみさん、はじめまして!おおおありがとうございます!書くのが上手い……(自分がアホ過ぎて)あまりピンと来ませんが、お褒めの言葉嬉しい限りです。更新、なるべく早く再開できるように頑張ります!ありがとうございます! (2015年7月28日 10時) (レス) id: 077743fc46 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - 初めまして。 私、こういうような書き方をする小説がとても好きでこの作品を見てとても書くのが上手いなぁと思いました。これからの更新がとても楽しみです!頑張ってください! (2015年7月28日 10時) (レス) id: ea9b626ffd (このIDを非表示/違反報告)
ゆるりら(プロフ) - もちろんです!楽しみにしてます! (2015年7月25日 19時) (レス) id: bb21b320ee (このIDを非表示/違反報告)
甘寧(本人) - ゆるりらさん» おお、ゆるりらさんではないですか!ありがとうございます(勉強してないとか言えない)ですよね!キドさんいいですよね!この小説でもキドさん出てきますのでその時はこのルートのキドさんもよろしくお願いします! (2015年7月25日 8時) (レス) id: 077743fc46 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるりら(プロフ) - 私もキドさん大好きです!カゲプロのキャラで断トツ一番です!受験、頑張ってください!! (2015年7月24日 19時) (レス) id: bb21b320ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:甘寧 | 作成日時:2015年5月8日 20時