俺にしときぃー！！

episode 4 ページ4

カフェに入ってしばらく話していると、
彼の声に妙な違和感、というか既視感を覚えた


この声どっかで聞いたことあるような･･･
誰と似てるんだっけ･･･


「Aさん？」
「あ、ごめんなさい」
「いえ、疲れちゃいました？今日お仕事だったっぽいし、大丈夫ですか？」


私が最初にした質問を今度は彼がするなんて、
と心の中で笑っていると、急に思い出した


誰の声に似てるのか


「なるせさんの声に似てますね」


ふと声に出して言ってしまっていた
その瞬間動きを止めた彼


「え、知ってるんですか？」
「なるせさんですか？なるせさんのことは知ってますよ」
「･･････ありがとうございます」
「ん？？」
「あ、なるせです」


！！！！？！！！？


驚きすぎて声にならなかった
いや、出さなくてよかった


ここはオシャレな都会のカフェ
変な声を出してしまったら退店するしかない


なるせさんの配信や楽曲など、よく観させてもらっている
楽曲はもちろん、考え方も素敵だなって思える歌い手さんだった


「プレイリスト入れて聞いてます！」
「ほんとっすか…なんか、恥ずかしぃっす」
「本人ってわかって聞くといつもの声だわーって思いますね」
「あ、配信とかも観てくれてる感じっすか」
「時間が合えば！」
「たしかに、いつも変な時間にやってますもんね」
「まあ、会社員にはなかなか厳しい時間に･･･ｗ」


思いがけないご本人登場に興奮冷めやらぬ間に時間は過ぎ、
そろそろ解散することとなった


いやー、ライブとかは行ってなかったけど行きたくなったなー
次は参戦してみようかな？！頑張って若い子に混ざってみよっかな？！


なんて考えていると、


「あの、よかったらLINE交換しませんか？」
いやっすかね･･･？」
「いや！嬉しい！あ、嬉しいけど、
大丈夫なん、ですか？？」


思わず噛み噛みで確認してまう


「？？大丈夫ですよ？Aさんが無理でなければ^^」


私が無理なことあるわけがない
応援していた方とLINEできるなんて！
研修最高だな！！


なんて数時間前まで呪っていた研修を
手のひら返しで褒めたたえた


こうして私はなるせさんとLINEを交換し、
帰りの電車で1通目のメッセージを受信した


『今日はありがとうございました！
明日もお仕事なのに付き合わせてすいません！
またお話いっぱいしましょ！
お気をつけて〜』


なんて可愛いLINEなのでしょう！
心温まりながら、お礼の返事とスタンプをして帰路についた

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