20話『黒の時代５』 ページ21
『ふわぁ...』
部屋の外の騒がしさに目を覚ました。
スマホを見ると私が怪我をして帰ってきてたから
２日経っていた。
そんなに寝ちゃったんだ...。
それにしてもガヤガヤしている。
怒鳴り声に忙しそうな足音
そして中也兄と姐様と龍くんの声。
ベットの上ではちゃんと聞こえないので私は音を立てないように立ち上がり扉に耳を当てた。
「Aに どう説明すればいんだよ...」
説明？何を？
「あの太宰さんが Aさんを置いて組織を裏切るなんて...」
組織を裏切る...？
お兄ちゃんが...？
「Aには 本当の事を言うではない。
あの子がもっと成長してから言うべきじゃ」
「でも、それまでの期間 なんて言うんですか？」
あぁ...これは私が聞いたら不味かったやつだ。
盗み聞きなんてするんじゃなかった。
ズルズルとドアを滑るように私はその場に座り込んだ。
お兄ちゃん...おにぃちゃん。
なんで...私を置いていったの？
お兄ちゃんは私の唯一の家族だったのに...
お兄ちゃんは私の唯一の光だったのに...
私の中から光が消えちゃった。
家族も居なくなっちゃった。
私はこれからどうやって生きていけばいいのかな？
ずっとお兄ちゃんの作ってくれた道を歩いてた。
でも、今はもう...何も無い。
足元も真っ暗だ。
『嫌だよ...私はお兄ちゃんが居ないと何も出来ないのに...なんでっ...』
次第に涙も出てきた。
左目に巻いている包帯にシミができる。
なんで景色や人は見えないくせに涙だけが出てくるの？
涙も出ない方がいいよ...。
『こんなもの要らないｯ!!』
私は何年もの間 人前では付けてきた包帯を勢いよくとった。
包帯は私の肩にするすると落ちてきた。
『やっぱり見えないなぁ...』
分かっていたことだけどね。
「A？」
突然、ドアの向こうから私を呼ぶ声が聞こえてきた
やばい...バレちゃった
声が大きかったのかな...。
私がドアから少し離れた場所に立つとドアはゆっくりと開いた。
「起きたの...まさか 話、聞いたか？」
私の顔を見て中也兄は顔を歪めた。
「すまねェ...辛かったよな」
中也兄 そんな顔しないでよ...
「Aさん...」
『龍くんも私を心配してくれてたのよね
ありがとう。』
中也兄の後にいた龍くんに私はそう言った。
『姐様』
「...なんじゃ？」
『私は大丈夫だから そんな顔 しないでください』
私は...自分で道を作りますから
"もう、子供じゃないから"
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 543人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yukinoyado(プロフ) - 和菓子さん» おぉ！！ありがとうございます！！更新頑張りますっ！ (2018年5月6日 18時) (
レス) id: fcd1afde8b (このIDを非表示/違反報告)
和菓子 - 1話1話、最後のまとめ方が凄い…！ 更新待ってますね！ (2018年5月3日 20時) (レス) id: de9df62b61 (このIDを非表示/違反報告)
yukinoyado(プロフ) - 夏咲 ゆきあさん» いえいえ。こちらこそありがとうございます！ (2018年4月30日 17時) (レス) id: fcd1afde8b (このIDを非表示/違反報告)
夏咲 ゆきあ(プロフ) - twitterではありがとうございました。応援してます。更新頑張ってください！ (2018年4月29日 23時) (レス) id: 9c923fb67a (このIDを非表示/違反報告)
yukinoyado(プロフ) - 凛歌さん» ありがとうございます！頑張りますっ！！ (2018年4月29日 23時) (レス) id: fcd1afde8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yukinoyado | 作成日時：2018年3月31日 13時
