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その68 ページ9

それは、先達ての戦に敗走してからのことだった。

原田「あきらめんなよ、平助」

永倉「紅、平助のこと頼んだぞ!また戦場でな!」

そう言い残して、二つの影は消えていった。

なによりつながりが深かった、一人の相方を残して。

そして、共に夢を見たはずの仲間のもとを離れて。

平助「元気でな.....」

さみしそうに平助は笑った。

夕日に吸い込まれた二つの影を見ながら、俺は平助に問いかけた。

「なんで追わないの?」

と。

平助「..オレはまだお前とやることがあるからな」

にっとわらう平助は、やっぱりさみしそうで。

「まだ走れば追いつくよ...?」

影に隠れた顔を見ようと首をもたげると、

平助はくるりと踵をかえして、俺の頭をぐしゃっとなでた。

反論するより早く、かすかに、でも確かに、彼は言った。

平助「ばーか。」

「え」

振り向いたら、平助はもう屯所の中にあがって速足で消えていった。

もしかしたら、きのせいだったかもしれない。

いや、でも俺耳には自信ある。

でも、こういうときにかける言葉なんて、俺は持ち合わせていないのだった。

春空に、しゃらん、と耳飾りの音だけが、取り残された。




土方「北へ進む。」

戦力を少しでも多くするために、残った東北諸藩を頼ると言った。

まず会津へ。その下準備として武器弾薬(平助が全力で集めた)や人手を流山に集めたらしい。

俺たち羅刹組も、同行することになった。

何より今は戦力。

そうゆうことらしい。



春の夜が身に染みる中、俺は平助の部屋の前に立った。

銀の月が雲から顔を出し始めていた。

「平助」

返事はない。

「明日、出発するって。だから、俺たちは明日の夕方出るって。」

かすかに気配が動く。

「平助。聞いてる?ねぇ。」

まだ返事はない。

おかしい。あかりがついてない。

なにかあって...

「っ入るよ!」

平助「まっ、て!」

たん。障子が音を上げた。平助の手がとってに伸びている。

暗い部屋に一筋の光。

目の前の彼は、それを反射して、白く淡い光をおびていた。

「へ、いすけ。それは」

平助「だいじょうぶだからっ。はやく、でろっ...!」

胸をつかんで呻いている。

そんな、

羅刹の、ほっ...さ...。

まさか、かくして.......。

「ぅ、あっ....!」

足が崩れ落ちる。

ずくん、と頬に痛みが走る。

あの紅いモノが頬を穿っていく。

まさか、こんな時に..!

止まれっ...!

パタタ....

血が滴る。


紅い涙のように。

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桜華(プロフ) - 壱月のてふさん» ありがとうございます!! (2019年6月16日 23時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 今後、薄桜鬼ではないかもしれませんが、また新しい作品を書いていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします! (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 桜華さん» 初めまして!返信が遅れてしまってすみませんm(_ _)mコメントありがとうございます!凄く嬉しいです!桜華様の言うとおり、読みは「ゆきな」です!「十鬼の絆」という薄桜鬼の過去の話のヒロインの名前からとらせて頂きました。 (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 結構前の作品にコメントしてしまってごめんなさい!もうほんとに感動しましたー!素敵な作品をありがとうございます!!ところで、夢主ちゃんの本当のお名前って「ゆきな」と読むのでしょうか…?2年も経っているのでお返事来ないと思いますが、待ってます…! (2019年2月11日 0時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - いずみんさん» 読んでいただけて嬉しいです!どんどん更新していきますね! (2017年8月15日 12時) (レス) id: 967e483124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2017年5月21日 19時

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