その67 ページ8
次の日、近藤さんが幕府からの命を受けて、新選組は戦の準備を始めていた。
たしか、甲陽鎮撫隊、とかいう名前で甲府に行くらしい。
もちろん人目があるため羅刹組は待機だが。
屋敷内では、バタバタと人が動き回っている。
「......負け戦、かな」
ふと呟いた。と、土方とばちっと目が合い、しまったと思う。
土方「平助!紅!」
わ、不協和音。
土方「あからさまに嫌な顔すんなよ。今回はてめぇら留守番組に頼みがあるんだ。」
聞こえてなかったみたい。安心安心。
土方「近藤さんには悪いが、今回はおそらく負け戦だ」
ほう?
平助「やっぱ近接戦じゃ難しいよな。被害も増えるだろうし...」
土方「そうだ。その上で、お前らに敗戦後の再起の下準備をしてもらいたい。人事の方は俺が抑える。お前らは松本先生と協力して____
「松本っ!?それって....」
続けるより早く平助の手が口を押える。
ちょ、ひどい。反論しようと目を見たが、
若干汗ばんでる、つか、冷や汗たらたらの平助を見て、俺は察した。
土方「.....協力して、ありったけの銃と弾丸を集めておけ」
平助「わ、分かった!じゃ、俺らはこれで.....」
土方「その用事が終わったらあとで部屋に来い」
・
平助「や、やばかったぁ。いや、やばい。呼び出しくらった....」
頭を抱える平助を見ると、彼が今までどんな悪事をなしてきたかが手に取るようにわかる。
いやまあ俺が言えたことじゃないけど。
「で、さっきの続きなんだけど。もしかして松本って、松本良順?」
平助「そ。幕府のお偉い医者らしいぞ。」
「そうか。なら俺は今回の件は手伝えない。」
平助「はっ!?」
「いやだって俺昔そいつに会ったから顔バレしちゃうし」
平助「まじで!?」
嘘だろぉぉぉと頭を抱える平助。
そんなに頭抱えてるとだんごになっちゃうよ、と言おうと思ったけどやっぱやめた。
今度からだんごが平助に見えて食べれなくなりそうだから。
・
土方「お、早かったな、と。お前だけか。」
「平助は絶賛落ち込み中だから代わりに聞いとく。あと、松本の件は俺関われないから」
土方「そうか。まあ、賢明な判断だな。で、だ。こっからが本題なんだが..」
.
.
.
「....分かった。それは、俺が何とかする。」
土方「ああ。頼む。」
ぱたん、と障子を閉じ、すっかり日が落ちた空をにらむ。
話した方が、いいかなぁ。
いやだな。
これが、不安、か。
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桜華(プロフ) - 壱月のてふさん» ありがとうございます!! (2019年6月16日 23時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 今後、薄桜鬼ではないかもしれませんが、また新しい作品を書いていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします! (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 桜華さん» 初めまして!返信が遅れてしまってすみませんm(_ _)mコメントありがとうございます!凄く嬉しいです!桜華様の言うとおり、読みは「ゆきな」です!「十鬼の絆」という薄桜鬼の過去の話のヒロインの名前からとらせて頂きました。 (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 結構前の作品にコメントしてしまってごめんなさい!もうほんとに感動しましたー!素敵な作品をありがとうございます!!ところで、夢主ちゃんの本当のお名前って「ゆきな」と読むのでしょうか…?2年も経っているのでお返事来ないと思いますが、待ってます…! (2019年2月11日 0時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - いずみんさん» 読んでいただけて嬉しいです!どんどん更新していきますね! (2017年8月15日 12時) (レス) id: 967e483124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2017年5月21日 19時