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その66 ページ7

「なんか...」

頭上を雀が抜けていく

「穏やか、だなー」

江戸のとある旗本のとある屋敷。

新選組御一行はそこを借り受けていた。

でも、本当に穏やかというわけでもない。

隊には不穏な影がうごめきつつある。

平助たち羅刹も、外出がままならない日々が続いてるようだった。

ごろんと寝返りをうつと、嫌みみたいな青い空が続いている。

...江戸にはしばらくいたけど、空は見えなかったな。

嫌だなぁ、江戸は。

平助「あ!いたーっ!紅っ!」

口にしたつもりはなかったけど、どうやら声に出ていたらしい。

よっ、と体を起こすと、降りる前に平助が上ってきた。

平助「お前どこで寝てんだよ!落ちるだろ!?」

「落ちたことないから安心しろ」

屋根の上ほど寝やすいとこはないと思う。

暖かいし静かだしうるさいどっかの鬼ふくちょーこないし。

「ってか平助まだ昼間だぞ。動かない方が...」

平助「これぐらいヘーキだって!それに、お前を寝かしつけておかなきゃなんねーし」

と言って、横に並んだ平助は、

ごつごつする...

とか言いながらも寝っ転がった。

「べつに俺だって寝てないわけじゃねーよ。」

平助「嘘だぁ!ぜってー寝てねぇよお前!千鶴が心配してたかんな!」

「う」

ぐうの音もでずにしぶしぶ横になる。

さわさわと頬をなでていく春風が心地いい。

平助も、気持ちよさそうに目を細めていた。

「桜の匂いがする」

平助「ほんとだ。春の匂いだな」

「そうだね。なんか...懐かしいなぁ..」


はらはら舞い散る桜の花びらの中で笑う。

『幸次郎、かおる、桜色の雪みたいだね!』

なんて言いながら。


「そういえば、咲いてたかもなぁ......」

暖かい日だまりの中、ほんの少しの平和を俺たちは味わう。

ほんのささいで、しょうもないことだけど、

俺は平助と過ごすこの時間が好きだ。

ぬるくゆるんでいく昼下がりの中、俺たちはそろって眠りこけた。

その屋根の下で何が起きているかも知らずに。

水面下ではそれぞれの戦が始まっていることも知らずに。









平助に残された時間も、知らずに。

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桜華(プロフ) - 壱月のてふさん» ありがとうございます!! (2019年6月16日 23時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 今後、薄桜鬼ではないかもしれませんが、また新しい作品を書いていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします! (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 桜華さん» 初めまして!返信が遅れてしまってすみませんm(_ _)mコメントありがとうございます!凄く嬉しいです!桜華様の言うとおり、読みは「ゆきな」です!「十鬼の絆」という薄桜鬼の過去の話のヒロインの名前からとらせて頂きました。 (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 結構前の作品にコメントしてしまってごめんなさい!もうほんとに感動しましたー!素敵な作品をありがとうございます!!ところで、夢主ちゃんの本当のお名前って「ゆきな」と読むのでしょうか…?2年も経っているのでお返事来ないと思いますが、待ってます…! (2019年2月11日 0時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - いずみんさん» 読んでいただけて嬉しいです!どんどん更新していきますね! (2017年8月15日 12時) (レス) id: 967e483124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2017年5月21日 19時

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