番外 お姫様と騎士様と王様 ページ45
事は同時に起きた。
どこからか彼女のことが漏れ、長州の上の人間の耳に入った。
そのような娘なら軍事に、と、あたかも幕府と同じことをしようとしたのだ。
そこでお姫様は言った。
『俺には、しなくちゃいけないことがある』
なにを、とは言わなかったし聞かなかった。
とめても無駄なことはこの1年半でわかってたし、こんな自体になったらそのほうが安全だとよんだ。
そして、お姫様がこの家を出ていったのは秋の初めごろ。
与えたマントを羽織っている彼女に、どこに行くのかと訪ねると、
「京に。」
としか返ってこなかった。
ここから京に行くとなると、着くのは冬だろう。
「風邪をひかいように、気をつけてくださいね」
私はそれしか言えない。
私だって、本当の親でもないし、お姫様の手本となれるような人間ではないのだから。
ただのからっぽの。
この1年半だけ、お姫様を守り育てる役目を賜った騎士。
いつしかお姫様は騎士の元を離れるものでしょう？
「またね、グラバー。ありがとう」
フードをすっぽりかぶって裏口から駆け出して行った。
「貴方も、お姫様」
その姿が見えなくなる頃、私は静かに敬礼をした。
遠い昔に見た、本物の騎士の敬礼。
新たな世界に赴く彼女に向けて。
「いってらっしゃいませ」
……彼女が、ここを1つの家だと思ってくれることを願って。
久々に胸に穴が開く感じがして、酷い置土産だ、と笑った。
•
「それももう、必要ないようですね」
穏やかな桜の地に居をかまえた彼ら。
お姫様には、とっくの昔から故郷のお城があったみたいだ。
彼が私の代わりの騎士…いや。KING、王様ですかね。
もう私の加護なんていらないようだ。
「これが俗に言う『子離れ』ですかね…」
「グラバーさん？」
「あぁ、今行きます」
私も自分の道を歩み始めよう。
彼女に貰った穴を埋める旅を。
「行きましょう、梢さん」
帰る場所を探して。
終わり
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桜華(プロフ) - 壱月のてふさん» ありがとうございます！！ (2019年6月16日 23時) (
レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 今後、薄桜鬼ではないかもしれませんが、また新しい作品を書いていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします！ (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 桜華さん» 初めまして！返信が遅れてしまってすみませんm(_ _)mコメントありがとうございます！凄く嬉しいです！桜華様の言うとおり、読みは「ゆきな」です！「十鬼の絆」という薄桜鬼の過去の話のヒロインの名前からとらせて頂きました。 (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 結構前の作品にコメントしてしまってごめんなさい！もうほんとに感動しましたー！素敵な作品をありがとうございます！！ところで、夢主ちゃんの本当のお名前って「ゆきな」と読むのでしょうか…？2年も経っているのでお返事来ないと思いますが、待ってます…！ (2019年2月11日 0時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - いずみんさん» 読んでいただけて嬉しいです!どんどん更新していきますね！ (2017年8月15日 12時) (レス) id: 967e483124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睦月 | 作成日時：2017年5月21日 19時
