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その78 ページ19

座敷、というよりは、座敷牢に近いかも。

薄暗い、まるであの部屋を思わせるような__

ドクン、と心臓が跳ねる。

悲鳴と、血の匂い。暗闇に光る白刃。

目をつぶれば、今でも......

?「思い出したかい?もう四年経ったか。君が失踪してから」

「...こうどう..」

綱道「君が死んだと聞いたときは驚いた。君は死なないものだと分かっていたけれどね。それに...」

ぼんやりと格子の隙間からろうそくの光が差しこむ。

綱道「朧家の力も十分に引き出たようだ。」

明かりに照らされた四肢は、紅い紋様を浮かび上がらせていた。

綱道「まるであのころみたいだろう?君が怖がるかと思って用意したんだが..」

「怖くなんかねぇよ。あの頃の私とは違うんだ。甘く見るな。」

言葉とは裏腹に、恐怖と焦りに心を揺らす自分がいる。

冷たい鉄の鎖が体温を吸い取っていくようだ。

みるみる凍り付く背筋に対し、昔の傷跡は熱を帯びていく。

綱道「朧家の本家筋とはいえ頭領格の鬼三人にはかなわないか。」

頭領格の、鬼。風間たちがいるのか...

殺されることは、ない、けど。

朧の力は使いたくないし。だからといってこのまま負けるわけにも...

「悪いけど、私はもうお前なんかに用はない。とっととでてく」

綱道「...悪いが、私もまた君に逃げられては困るからね。」

がっ、と歯と歯の間をこじ開ける音がした。

容赦なく手が口内を探る。のど奥に何かが入り込む感覚がした。

「っげほっ、っう...。私には毒が効かないのを忘れたのか。」

綱道「自然の毒は効かなくても、科学的な毒は効くことは忘れたのかな?」

途端に襲う頭痛とめまい。自立が難しくなる。

神経麻痺、と、睡眠、作用....

歪む視界の中、障子の奥に見覚えのある影が動くのを感じた。



「君菊」

「ここに、姫様」

従者は主の足元へ跪く。

主は、まだ年端も行かぬ幼い少女だ。

「天霧の頭領を呼んでちょうだい。彼なら話が通じるわ。」

しかしその瞳が映すのは、大人以上のナニカ。

「このままではだめなの。鬼同士で争い、傷つけあっていては。そのためにはまず、頭領たちの争い
をとめなくてはならない。」

少女は瞳を外へ向けた。

「私は確かに見たわ、この先身の力で。あの子が人間と幸せそうに笑うところを。」

鬼の世界にも、あの子を筆頭とし、差別されるはぐれ鬼は存在する。

彼らと手を取り、かつて鈴鹿御前が作った十鬼衆のような絆を結ばなければ。


「あの子ならやってくれる、そう思うの。」

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桜華(プロフ) - 壱月のてふさん» ありがとうございます!! (2019年6月16日 23時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 今後、薄桜鬼ではないかもしれませんが、また新しい作品を書いていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします! (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
壱月のてふ(プロフ) - 桜華さん» 初めまして!返信が遅れてしまってすみませんm(_ _)mコメントありがとうございます!凄く嬉しいです!桜華様の言うとおり、読みは「ゆきな」です!「十鬼の絆」という薄桜鬼の過去の話のヒロインの名前からとらせて頂きました。 (2019年6月16日 17時) (レス) id: d5fc3d3395 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 結構前の作品にコメントしてしまってごめんなさい!もうほんとに感動しましたー!素敵な作品をありがとうございます!!ところで、夢主ちゃんの本当のお名前って「ゆきな」と読むのでしょうか…?2年も経っているのでお返事来ないと思いますが、待ってます…! (2019年2月11日 0時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - いずみんさん» 読んでいただけて嬉しいです!どんどん更新していきますね! (2017年8月15日 12時) (レス) id: 967e483124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2017年5月21日 19時

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