林檎が三十七個 ページ39
階段を登りきった後も、ただひたすら前を向いて走る
廊下の真ん中辺りに来たとき、刃物を構える様な音がした
『(これって絶対私狙いですよねぇ・・・はは。)』
内心半泣き状態で、音のする方をちらりと見やった
＿＿刃物がもう振り上げられてるぅ！？
その人は背筋を凍らせる様な笑みで、思い切り刃物を振りかぶった
「A！！」
『・・・へっ？』
たまたまこの廊下を通ったとみえるゼンさんが、私に気づいて声をかけてくれたのだ
「A、お前何やってるんだ」
『ゼンさん、』
彼が駆け寄ってきたので、何故か咄嗟に矢を隠す
ゼンさんは不思議そうな顔で私を見た
「お前、帰ったんじゃなかったのか」
・・・そうなんです、そのつもりでした
まさか事典忘れただけで、こんな事態になるなんて
心の中で自分の不運さに哀れんでいた時、ゼンさんがいきなり近くの木を睨み、私に問うた
「・・・A、ここに来るまでに誰かに声をかけられたか」
何故そんな事を聞くのか、と疑問に感じたが、“衛兵の人になら“と少し言葉を濁して答える
ゼンさんは険しい顔で腕を組み、何かを考え始めた
そのまま私の背後を覗き込む
「で、その矢は何だ？」
『えうっ！？』
一番触れてほしくない事を言われて、体がおもいっきり跳ねる
それと同時に、私の手の中にあった矢が揺れ、カランと音を立てた
＊＊＊
「城内で誰かに射られた！？」
あのまますぐゼンさんに矢の事はばれ、洗いざらいはかされた
ゼンさんご立腹です
とにかく話を聞いて欲しくて、ゼンさんを宥め様とする
けれど、なかなか話を聞いてもらえない
とうとう私は、ほぼ叫びに近い声で心中を話した
『私だって！・・・怖かったし、腹も立ちました。』
突然の事に驚くゼンさんが持つ矢を取る
『でもこのまま何もせず、行き止まりにしたくないんです。一度ぶつからなきゃいけません！』
「・・・一人でか？」
ゼンさんは呟く
私は頷き、“相手も近づいてくれるかも、です“と付け加えた
その答に、ゼンさんはきっぱり言い放った
「ダメだ」
『ゼンさん！』
「・・・と言いたい所だがな、わかったよ。でも無理はするな」
その言葉に顔を綻ばせた
ゼンさんはそんな私の頭を撫で、下を向きながら言った
「悪い。・・・俺はどうも、敵を作りやすいらしい。」
なんだか、とても悲しい声色に聞こえた
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かるp(プロフ) - 赤司ありあさん» 返信遅れてしまい、すいませんでした。赤司ありあ様、コメントありがとうございます！どストライクですか！？ハートを射る事が出来て嬉しいです。勿論頑張っていきたいと思います！ (2016年2月14日 20時) (
レス) id: 3ac4b62ad0 (このIDを非表示/違反報告)
赤司ありあ - おっ！これはエンペラーアイですか？wこれは、もう度ストライクですね！大好きです！！これからも読まさせて頂きます！！頑張ってください (2016年1月1日 19時) (レス) id: 63ba2608d2 (このIDを非表示/違反報告)
かるp(プロフ) - 猫型。さん» 猫型。様、コメントありがとうございます！最近更新が停滞気味で・・・。しかし尊敬してもらえるとは、とても嬉しいです！ (2015年11月14日 19時) (レス) id: 3ac4b62ad0 (このIDを非表示/違反報告)
猫型。 - 作者様の書く小説のリズムテンポが素晴らしすぎて毎度尊敬してしまいます…(,,´ω`)赤髪の白雪姫、面白いですよね！ (2015年10月6日 19時) (レス) id: bf9ac0b0e3 (このIDを非表示/違反報告)
かるp(プロフ) - +*+*はりゅりゅ*+*+さん» まじです！ゼンさんもオビさんも見る度数秒手を止めて見入ってしまいます（毎ページ）！オビさんのボケもかなり好きです！ (2015年8月16日 22時) (レス) id: 3ac4b62ad0 (このIDを非表示/違反報告)
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