林檎が十個 ページ11
『＿＿んう、』
｢おや、気づいたか？｣
目が覚めると、そこは天幕ベッドの上
私の隣でギシリと音を立ったと思えば、男＿ラジ王子が顔を覗き込んでいた
『・・・おかげさまで。』
そういって上体を起こそうとすれば、ふらっとベッドに逆戻り
｢ああ、まだ毒がまわっているんだ。」
その言葉でﾊｯとした
ゼンさんが＿＿
『あの！友人の薬を・・・』
｢まあ待て。実は＿｣
知りたくもない身の上話をされた
簡単に言うと、王子の名誉の為に、〈私から愛しょうに申し込んだ〉といってほしい、と。
『(・・・幻聴？)』
思わず顔をしかめてしまった
王子はそれに気づいていないらしく、得意気に話を続ける
｢＿それにしても君は噂通り、いや噂以上の美しさだ・・・！そうだ！君、私の側室にならないか？｣
『・・・へ？』
これも毒による幻聴なのだろうか
早く薬貰って帰らなきゃな・・・
｢君程の美人なら、私の側においても損はない。それにその目があれば、多くの国を・・・支配下に置くことも可能だ。さあ、その目を早く見せてくれ！」
頬に手をかけられ、目を隠す包帯に手を添えられた
この人、きっと包帯を外す気だ・・・！
なすがままになるのはごめんだ、と私は必死に抵抗した
しかし男女の力の差は埋められない
王子は嫌がる私を押さえ、短剣を包帯に宛がった
｢さあA殿、早くその目を僕に＿！」
『やめ・・・てくだ、さ＿！』
ｻﾞｼｭｯ
｢っおお・・・！｣
『っ＿＿！！』
痺れをきらした王子が力を入れたとたん、とうとう包帯が破けた
その時に私が抵抗したため、私の頬と腕には大きな傷が
｢美しい！これが“帝王の目“＿！傷はつくってしまったがまあいい、
偶然とはいえ、嫌とは言わせない材料ができて幸運だった。」
｢私としても、これ程目を楽しませる娘＿もとい貴重な戦力を遠くへやるのは惜しいからな」
そうか
私が言う通りにすればゼンさんは薬は貰える
どうしてもゼンさんを守りたい＿＿！
答は決まっていた
｢っ＿！何を」
私の頬を触る王子の手を払い、朦朧とする意識の中覚悟を決める
＿＿姉様、ゼンさん、ごめんなさい
『あら失礼を。ラジ王子
＿＿どうぞお好きに、お連れ下さい」
言葉と同時に
扉の向こうで、門番の騒ぐ声が聞こえた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かるp(プロフ) - 赤司ありあさん» 返信遅れてしまい、すいませんでした。赤司ありあ様、コメントありがとうございます！どストライクですか！？ハートを射る事が出来て嬉しいです。勿論頑張っていきたいと思います！ (2016年2月14日 20時) (
レス) id: 3ac4b62ad0 (このIDを非表示/違反報告)
赤司ありあ - おっ！これはエンペラーアイですか？wこれは、もう度ストライクですね！大好きです！！これからも読まさせて頂きます！！頑張ってください (2016年1月1日 19時) (レス) id: 63ba2608d2 (このIDを非表示/違反報告)
かるp(プロフ) - 猫型。さん» 猫型。様、コメントありがとうございます！最近更新が停滞気味で・・・。しかし尊敬してもらえるとは、とても嬉しいです！ (2015年11月14日 19時) (レス) id: 3ac4b62ad0 (このIDを非表示/違反報告)
猫型。 - 作者様の書く小説のリズムテンポが素晴らしすぎて毎度尊敬してしまいます…(,,´ω`)赤髪の白雪姫、面白いですよね！ (2015年10月6日 19時) (レス) id: bf9ac0b0e3 (このIDを非表示/違反報告)
かるp(プロフ) - +*+*はりゅりゅ*+*+さん» まじです！ゼンさんもオビさんも見る度数秒手を止めて見入ってしまいます（毎ページ）！オビさんのボケもかなり好きです！ (2015年8月16日 22時) (レス) id: 3ac4b62ad0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
