聞いてますか白石さん【鬼滅の刃】

白石さんが4人 ページ5

煉獄side





今日は珍しく休日故に賑わう町へと
足を運ぶ。

こうしている時だけ死への運命が遠いかの様に思えるがそういう訳でもない。

人に紛れた鬼だっているさ。







｢よもや！｣






何と運がいい。
胡蝶が言っていた白石Aとやらに遭遇した。
だが白石少女は何を見ているのだろうか。

興味本位でこっそりと近づくと
可愛らしい簪が並ぶ店の商品を硝子越しに
熱心に眺めていた。

熱心…いや、なんか、うな、唸ってないか？








｢やあ白石少女！｣


『…カナヲね、この間助けて貰ったから
お礼に簪とか、何がいいかな』







こちらを見ようともせずにぼーっと独り言を呟きながら唸りに近い声を出して悩む白石少女。

カナヲとは、ああ、胡蝶の所の栗花落少女の事か？
なるほど！友を大切にするのは善い行いだな！
よもやよもや！








｢んん？｣


『カナヲそろそろ口紅無くなるかもって
言ってたかも…』


｢待ってくれ白石少女｣


『…あ』


｢やぁ、俺は煉獄杏寿郎だ｣


『どっちがいい？』


｢よもや！俺が選んでいいのか？｣






いつも上の空と聞いていたが
俺の返答に首を縦に振り俺の目を見て
口を開く。









『私は女の子の好みわからない』


｢それを言うなら俺もなのだが！
だが胡蝶と同じ蝶の髪飾りを付けていた筈だ！
日用品ならば口紅も良いが…｣


『すいませんこれ…』








悩んでいるとスタスタと店の中に入って行き
紫と桃色が目立つ可愛らしい簪を手に取る。

よもや、人と話す時は礼儀を見せるのか…
この子を見ていると放っとけなくなる気がして
どうかしてると頭を切り替えて足を引替えそうと

元来た道を戻ろうとしたが袴の袖を弱い力で
引っ張られる。






｢どうしたんだ、白石少女！｣


『地図読めない、迷った、ここどうやって行くの』


｢紅も買いに行くのか！？｣


『あと、帰り道も分からない』


｢鬼殺隊員だよな…？｣


『翠なんで今日に限っていない』


｢鎹鴉か！！｣





鳥を呼ぶような笛を首からかけており
少し申し訳ないような落ち込んだような
表情になる為手を握り人混みを歩き出す。

地図によればここは反対側の場所。
鎹鴉…翠？も大変だと思ってしまった。






｢よーし俺に着いてこい！
帰りには美味い飯屋に連れてってやろう！｣


『あ…お団子』


｢ならば帰りに団子も買っていこう！｣







そう言うと忽ちしょげていた白石少女は笑顔なる。
何だ、そんな風に笑えるじゃないか

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