叶 え て や る よ 〈T.F〉6.

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「太輔が好きです」



藤「…え？」



「そばに居させてください」




やっと、言えた。





やっと、私の気持ち。






藤「A…」

「んん…っ、太輔ぇ」




太輔はぎゅっと、強く抱きしめてくれた。




藤「遅いんだよ」

「ごめんっ」

藤「はぁ、よかった。…よかった」



太輔からホッと、安心したことが伝わる。




藤「A」

「うん」

藤「俺と一緒に暮らさない？」

「え…？」

藤「ここで」




ここで…？





藤「ずっと一緒に居たいから」

「…ん、うーん」




太輔と一緒に居たいのは、私も同じ。



だけど、私が再出発するってなったとき、両親が私の為に色々してくれた。




「…ごめん、それはちょっと」

藤「出来ない？」

「うん…あのね、私今、一人暮らししてるの」

藤「うん」

「その時、親にすごく助けてもらって」

藤「そっか。分かった」



太輔が私から離れて、どこかへ行っちゃったから、


「太輔っ？」


不安になった。


せっかく、言ってくれたのに…

断ったから怒ったのかな？




「太輔、ごめんっ」



慌てて立ち上がったら、太輔が戻ってきた。





藤「これ、持っててね」

「へ？」

藤「お城の鍵。ちゃんと、持っててね」




さっき、玄関先に置いた鍵−。




藤「その代り、Aのお城の鍵もちゃんと俺にちょうだいね」

「うんっ」

藤「あれ？どうしたの？なんで泣きそうになってんの？」

「なんでもない」

藤「ちゃんと言って？」

「ううんっ。大丈夫！太輔のそばに居られるから嬉しいだけ！」

藤「うん、俺もだよ」

「うんっ」






不安になって、怖くなった。

だけど、それは言わない。




今はやっと、太輔と気持ちが繋がったんだもん。

わざわざ、言わなくていいよね。

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