叶 え て や る よ 〈T.F〉6.

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キッチンから出ようとしたら、スケちゃんが来た。



「あ…ど、したの？」

『A？泣いた？』

「えっ？ううん、泣いてないよ。ちょっと頭痛くて…」

『大丈夫？帰る？』

「え…？」



戸惑っていた私を無視して、スケちゃんはみんなの元へ戻った。




帰る？

せっかく太輔に会えたのに…帰る？




「…待って、スケちゃん！」



慌ててスケちゃんを追いかけたけど、




『A、体調悪いみたいだから帰るわ』

ア「え？！A？」

「スケちゃん！私、大丈夫だから」

『顔色悪いって。送るよ』

藤「…。」




太輔が私を見ている。



太輔と話したい。





「スケちゃん、あのね」

藤「俺が送るよ」

「…え？」

『え？太輔が？』

あ「太輔、呼ばれちゃったみたい」

『え？』

ア「ガーヤ、Aの家の方に行くんだよね！」

藤「うん」

ア「それなら行き道だし、ガーヤに任せちゃお！ねっ」




…太輔に送ってもらう？

え？ちょっと待って、話したいって思ったけど。

そんなっ送ってもらわなくて平気！！！

いや、むしろ送ってもらいたくないっ。



『A、どうする？』

「え？あ、うん」

『俺でいいなら俺が送るよ』




小声で…『初対面の人に送られるの大丈夫？』と聞かれて、



「スケちゃんと帰る」

『了解』




太輔とまだ二人になって、自分を抑える自信なんてない。




『Aの家と俺の家すぐだし、やっぱ俺が送るよ。太輔、呼ばれてんだろ？』

藤「うん、そっか」

『もう行かなくて平気？』

藤「まだ時間はあるから」

『そっか、じゃあ…先に帰るわ』

藤「気を付けて。…Aさんも」





「はい」





太輔を残して、私とスケちゃんは先に家を出る。



あ「Aちゃん、スケちゃんにしっかり送ってもらって」

「ごめんね、アンナまた連絡するね」

ア「うん、気を付けてね」

『じゃあ、またね』



太輔、ごめん。ごめんね。



どんどん、太輔のことを傷付けていく。

でもこうでもしなきゃ、守れない…でしょ？


そうだよね？そうなんだよね？



頭の中で自問自答する。




『A、タクシー捕まえる？』

「…。」

『A？大丈夫？そんなに痛いの？』



スケちゃんが心配してくれているのに…それも聞かず。





『A？』

「スケちゃん、ごめん」

『ん？』

「忘れ物した、すぐに戻ってくる！」


スケちゃんに背を向けて、もう一度あっくんハウスに戻った。



『俺が…行っちゃった』

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