236話*どうしても* ページ46
手は抜けない。
あの鳳に、傷の手当をした事を後悔させるなんて
そんな事有ってはならない。
それはただの直感や勘ではなく、自分の心で思った。
もし僕が今手を抜けば……そんな事があれば、鳳はもう嫌いな人の手当どころか関わる事さえしなくなるだろう。
それだけは避けなければならない。
その優しさが、鳳の武器なのだから。
A「さぁ、やろうか」
自分でも自分の声が無情に感じる。
僕は今どんな顔をしているのだろう。
心を映し出すような複雑な表情?
それともシンプルに嫌そうな表情だろうか。
いや、意外と声に相応しい無表情なのかもしれない。
そして鳳の頷きと共に僕はサーブを強く打ち放った。
先程とは何もかもが違う、
まるで研がれた刃物のようなサーブ。
鳳「ッ……!!」
両手でラケットを持ち鳳が打ち返す。
打って変ったような球質に言葉にはしなくても戸惑っているのが分かった。
人の球質はそうそう変わる物でもないから戸惑うのも無理はないか。
A「これぐらいで驚いてると……最悪な事になるよ?」
いつもの
"敵"と試合をする時と同じように、相手を見下すような作り笑いを浮かべる。
しかし流石といったところだろうか
鳳「別に……驚いてはないです。」
鳳はムッとしたように僕に言い返す。
驚いたか驚いていないかは顔を見ればわかる。
……特に鳳は顔に出やすいから。
でもきっと驚いたと認めるのが悔しいのだろう。
なんて僕は試合に集中しようとしていても
僕の脳は勝手に考えてしまう。
鳳はこんな性格だから
だからこんな風に思ってるのかな
なんて
そんなの毛先程しか触れ合った事のない僕が言えるわけない言葉。
こんなモヤモヤした気持ち……
いや
A「気のせいか」
僕はポツリと自分に言い聞かせるように呟いた。
鳳を傷つけたくないという思いも
僕の心で考えてしまう事も
全部気のせいなんだ。
だから
これからは思いっきり宍戸と同じようにしたら良い。
躊躇や戸惑いは混乱の元。
何も考えずに
ただただ、鳳を……
A「倒すよ」
僕の声がコートに響いた。
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月夜見(プロフ) - さっこさん» 分かります(キリ← 真田=wwww 的な雰囲気ですね(笑) (2015年5月10日 15時) (レス) id: bfd674d62d (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 月夜見さん» 話に困ったときに名前を出すと会話が広がる(( (2015年4月22日 22時) (レス) id: a7371a86a7 (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(プロフ) - ゆーまさん» いえいえ、お気に入りにして頂きありがとうございます。そしてそのように言って頂けなければ違反だと言うこともわからない作者様もいらっしゃると思いますので謝ることはないと思いますよ。ありがとうございました。 (2015年4月21日 0時) (レス) id: bfd674d62d (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(プロフ) - さっこさん» 確かになりますね(笑) おかげでネタには困らない(( (2015年4月21日 0時) (レス) id: bfd674d62d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーま - 奏さん» あ、いえ。私もなんか荒らしてしまって申し訳ないです…つい、お気に入りの小説でしたもんでつい本気になっちゃって…;;冷静に考えれば一人に対して言ってませんね。すみません;; (2015年4月5日 3時) (レス) id: 21e24847c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜見 | 作成日時:2014年4月12日 2時