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235話*お願い* ページ45

鳳「宍戸さんと同じように……してください」

僕の問いにもそういう鳳の目はもう、意見を覆すような目はしていない。

きっともう僕が何を言っても無駄だろう。



でも


A「無理」

それは、不可能。

やろうと思えばできる。

でもできない。


やりたくない。


鳳「どうしてですか!!!」

鳳の納得できないような大きい声がコートに響いた。

風もないこの時間帯だとその声はいつもより一層大きく聞こえる。

……いや、実際にいつもより大きいのかもしれない。


A「鳳が悪いんだよ?」

僕が鳳に厳しくできないのは

鳳が悪い。

僕の手当てなんかするから

僕に優しい言葉をかけるから

僕に優しく微笑みかけるから。


全部全部、鳳のせいなんだよ。


そんな僕の思いをなんとなく感じ取ったのか、鳳は悲しげに目を伏せた。


鳳「関係ないじゃないですか」


関係のないわけがない。

その証拠にさ、ほら。



A「いくら厳しくしようと思っても!!痛めつけようと思っても!!」


ぎゅっと手に持っているラケットを握りしめた。


さっき感じた違和感。

その原因はすぐに分かった。



A「鳳相手に、強い球が打てないんだ……」


打てない。

相応の力で返すことができない。


それは鳳を傷つけることが怖くて、無意識のうちに力を抑えてしまっているから。


自分でも十分に分かってしまう。


敵だと分かっているのに

[どうしてもっとスピードが出ないの]
じゃなくて
[どうして敵なの]

と思ってしまう。


そう思ってしまう自分にまた

どうして

と思ってしまう。


鳳「俺は、例え嫌いな人でも怪我をしていると手当をするぐらいの常識はもっています」

僕の言っている内容がよく分かったのかそういって鳳はまっすぐに僕を見た。


違うんだ。

鳳にとって、それは常識かもしれない。


でも

僕にとっては、常識じゃないんだ。



この世界は"仲間"と"それ以外"にはっきりと別れていて。

仲間以外の身体的な事情なんてどうでもいい。


それが僕にとっての常識なんだ。




だからさ、

怪我の手当てをされると嫌でも

仲間だ

って思っちゃうんだ。





鳳「俺に手当なんかしなきゃ良かったって思わせないでください」



でも

そんな事言われたら嫌でも本気でするしかないじゃん。



A「後悔しないでよ?」


僕はそう言い、

そして再びラケットを構えた。

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月夜見(プロフ) - さっこさん» 分かります(キリ← 真田=wwww 的な雰囲気ですね(笑) (2015年5月10日 15時) (レス) id: bfd674d62d (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 月夜見さん» 話に困ったときに名前を出すと会話が広がる(( (2015年4月22日 22時) (レス) id: a7371a86a7 (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(プロフ) - ゆーまさん» いえいえ、お気に入りにして頂きありがとうございます。そしてそのように言って頂けなければ違反だと言うこともわからない作者様もいらっしゃると思いますので謝ることはないと思いますよ。ありがとうございました。 (2015年4月21日 0時) (レス) id: bfd674d62d (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(プロフ) - さっこさん» 確かになりますね(笑) おかげでネタには困らない(( (2015年4月21日 0時) (レス) id: bfd674d62d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーま - 奏さん» あ、いえ。私もなんか荒らしてしまって申し訳ないです…つい、お気に入りの小説でしたもんでつい本気になっちゃって…;;冷静に考えれば一人に対して言ってませんね。すみません;; (2015年4月5日 3時) (レス) id: 21e24847c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月夜見 | 作成日時:2014年4月12日 2時

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