＊トリップをした少女＊【テニプリ】part5

214話*ごめん* ページ24

どうして…ここに?


僕の思考は完全にシャットダウンしてしまった。

予想さえしていなかった出来事。

その事にとっさに反応が出来ない。


里穂「ぁ…ごめ…ごめんね…？昼ご飯作りに来ただけで…Aちゃんが居るって知らなくて…」

何で謝るんだろう。

どうして。

昼ご飯を作りに来ただけ。

皆の為に。

冷静に考えれば時間的にも態勢的にも何も不自然な事じゃないのに。


そもそも僕に散々な事をしておいて何故今さらそんな態度を取る。

…僕もかなり散々な事したけど。

そもそもよく考えればこうなってから二人きりで里穂に会ったのは初めてかもしれない。


里穂「それ…Aちゃんの昼ご飯？すごいね、おいしそう…」

無理やり話を繋げている。

それが十分すぎる程に分かる言葉だ。


しかし、それが隠れる程に軽く微笑んで見せる里穂は演技が上手だな、と思う。


A「無理しなくて良い。どうせ僕の事なんて何とも思って無いんだろ」

どうしてだろう。

この言葉…

これだけの言葉を言うのに、何でこんなに声が震えそうになるんだろう。



里穂「そんな事…」

里穂がはっとしたようにそう言うのと僕が座っていたのから立ち上がるのとが同時だった。



A「もう良いよ。毒を盛ろうとしていた人と一緒に居たら危険だしね」


そう言ってクスッと笑うと里穂がさぁっと青ざめる。

全部ばれてるんだよ。

隠すなんて馬鹿な事しなくてもすぐにバレルのに。


…いや、料理人さんが気付いただけなんだけど。


里穂「あ、あれはAちゃんに盛ろうとしたわけじゃないんだよ…!?」

A「じゃぁ里穂の好きなテニスプレーヤーたちに盛ろうとしたんだ、最低だね」

どちらにしよ、最低。

僕は他にも色々言いたい言葉を飲み込み、里穂に背を向けた。




そして食堂を出る時に一言だけ、

呆然と立ちすくむ里穂に声をかけた。


今回の合宿か前回の合宿か。

それは忘れた。

だけど、自分から味方を突き離すためにやった自分の汚点。




A「前…お茶かけてごめん」


里穂に頭からお茶をかぶせた事。


あの時、里穂から直接何かをされたわけでもないのにしてしまった最低な自分。

ずっとずっと気にかかっていたのだ。


一応、これでもそこまで悪人じゃない…筈だからね。




―――――
☆生存者確認←☆
手塚*菊丸*越前
鳳*芥川
柳生*丸井*切原

☆Aちゃんの味方(?)☆
芥川
柳生、丸井、切原
(菊丸)
―――――

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