ヒロインなんて、なりたくない。６

148話 ページ22

「まだ、自分が怖がってるのか、大丈夫なのか、分からない。
それを考える余裕が、今の私にはない、のかも。」




　私、最低だ。

　いつまでも怯えているから、こうやって人を傷つける。


　悠飛のことも、美門くんのことも、私の弱さで傷つけてる。


　恋は誰かを傷つける。

　傷つかない方法なんて、ないんだ。


　でも私は、それでも私は、




大切な人を失いたくない。




　なんて、我儘なんだろう。傲慢なんだろう。

　こんなところも、きっとこれから誰かを傷つける。




「ごめん、なさい…」

「良いんだよ。」

「……え…っ？」

「だから、泣かないで。」




　泣か、ない…？


　頬に生暖かい感覚がしていた。

　気がつかなかったみたい。


　私、ほんとに…ほんとに……っ




最低だ…っ




　泣いて、また人を傷つけた。

　泣いていいのは私じゃない。泣きたいのはきっと、美門くんのほう。




　私は目の前で優しく微笑む美門くんに、謝ることも何か言うこともできなかった。




ヒロインなんて、なりたくない。６

to be continue...?

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