thirty-two ≪試し読み≫ ページ41
「彩、これ。」
「ん、なぁに?」
彩の、のんびりとした返事。
私の、いつもより硬い震えた声。
きっと、彩は気づいてる。
私が不安なことを。緊張していることを。
そして、あの放課後のことを気にしているけ!ど聞けないもどかしさを抱えていることを。
私の渡した文化祭関連の書類。(詳しくは、費用の金額表)
それをニコリと、いつものように微笑んで受け取った彩は、やっぱり少しだけぎこちなかった。
「確認しておくね。ありがとう」
「う、うん。じゃあ」
ばいばーい、と緩い返事をした彩の声色には、安心感が含まれている。
やっぱり……、彩は私といることが負担なのかもしれないな。
あの日以来、彩のあんな姿を目撃してしまってから、お互い気まずくてぎこちない。
クラスにも私達の仲の良さが知れ渡っていたものだから、始めは皆困惑していた。
だけど空気を読んでくれているのか、いつも通り接してくれて、私達の仲には踏み込まずにそっとしておいてくれている。
私はずっとこのままなんて嫌だけれど、彩はそんなことないのかな。
お腹の底からモヤッとするものがこみ上げてくる。
思わず涙が出そうになったが、必死に鼻を静かにすすって唇を噛み締めて耐えた。
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おもち - た3ま1わ3な1あ2 (2021年10月11日 20時) (レス) @page3 id: 47dc307598 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 最後まで楽しみです! (2021年1月17日 13時) (レス) id: acb042024b (このIDを非表示/違反報告)
月瀬澪海 @ゆぅら(プロフ) - ゆいさん» か、神様!!! ありがとうございます、嬉しいです!! (2021年1月6日 18時) (レス) id: 69c985532c (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 神様〜!!面白いぃぃぃ! (2021年1月5日 13時) (レス) id: acb042024b (このIDを非表示/違反報告)
月瀬澪海 @ゆぅら(プロフ) - 小町さん» ありがとうございます…! 嬉しいです、頑張ります〜! (2020年7月4日 12時) (レス) id: 69c985532c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆぅら | 作成日時:2020年7月4日 7時