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第六十八話 家族なんだよ ページ25

朝日が目を開けさせた


貴方「んっ……」


起きると隣で川の字で寝ていたはずの烏頭はAの腹の上に足を乗ってきていて、垂直の方向に頭があった。


居間で喧嘩をしていた夫婦も距離はあったが隣で寝ていた。



貴方「…朝、か…」


日差しを見ると思い出す。

太陽で凡その時間をはかり、待ち合わせをしていたあの頃を。

朝日ほど眩しくない、暖かい色をした夕日は、丁と会うとなるとこれよりも眩しく綺麗に感じるものだった。



貴方「…」



少し涙ぐむが、袖で目を多い静かに部屋を出た。



井戸に向かい、水を汲み顔を洗った。



貴方「…丁は、何年後、何十年後、こっちにくるんだろう…」


その頃私はどうなってるんだろう


お婆さんになってたりするのかな


鬼になったら、地獄では、時間の流れはどうなるんだろう


丁はそれでも私のことを覚えてるかな




いけない、と井戸の水をバケツに組み上げた。






貴方「そっか…まだ私少し前まで人間だったのか…」


水に映る自分の二本角を見る。


どこか更に離れてしまったような、


もう丁と同じ空間に居られない恐怖、


守れた安堵、


寧ろこれは逃げてきてしまったのではないか、


浅はかな判断だったのか、


現世で生きていくことが彼の幸せだったのか、


何が正しかったの?


でも本当はわかってる


貴方「あの現世が、間違ってたんだよ……」



水が流れる音でかき流しながら、呟いた。






烏頭「……大丈夫か?」


貴方「!…烏頭…」



また烏頭に見つかってしまった。



貴方「ごめんっ、気にしないで!」

すぐに笑ったが、手を烏頭に取られる


烏頭「…おれ、お前の本当の家族になれるように頑張るから、少しでもおれたちと笑える日が増えるように…」


貴方「!」


烏頭「辛いこともちゃんと、頼りたい時に頼ってくれよな…守れるものも守れなくなるだろ!」


貴方「…ありがとう、烏頭」


微笑みながら涙を零した。

第六十九話 自由だから見える→←第六十七話 家族だよね



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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (12月12日 0時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ(プロフ) - コメント失礼しますm(_ _)m作品拝見させていただきました!とても面白くて繰り返し読み返しています!主さんのペースでいいので更新よろしくお願いします!更新される日を心待ちにしています\(*⌒0⌒)♪ (2023年2月24日 18時) (レス) id: eda41cdc2e (このIDを非表示/違反報告)
風美(プロフ) - 更新ありがとうございます!!🙇‍♀️眼福とはこの事!!続きを楽しみにしています✨続きは楽しみですが作者様のペースで!!また来ます✨ (2022年8月28日 16時) (レス) @page29 id: 68efac024c (このIDを非表示/違反報告)
風美(プロフ) - すみません…続きを…続きを書いてくれませんか…?😢 (2022年8月17日 21時) (レス) @page25 id: 68efac024c (このIDを非表示/違反報告)
あにゅ(プロフ) - 面白くて何度も読み返してます。続きが読める事を楽しみにしていますね。 (2021年2月10日 17時) (レス) id: d1aebefc6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:莉希 | 作成日時:2017年10月13日 15時

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