【第八十一話】 ページ34
するとアンはまた手を振るうかと思いきや、あるバッグを敦に持たせグッと親指を立てた。
「パラシュートよ、万一あたしが逃げる時のために一つ隠しておいたの。差し上げるわ。
空の上から飛び降りるなんて馬鹿な御方、見てられないもの」
モンゴメリはやれやれという呆れ顔をするも、どこか期待するかのような顔をしていた。
「所で...Aさんはどうなる?」
「...あの子は、今助けるのはかなり難しいわ。
どういう訳か、内の団長がえらく気に入ってるの。もう少し時間が欲しいわ」
そう言われ、敦はあの部屋て起きた惨劇を思い出した。
フィッツジェラルドが起こしたAへの行動。あれが本当に執着心から現れたものとしたら、彼がどれ程Aを想っているのか計り知れたものではない。
「...判った、じゃああの人に会ったら『近い内に迎えに来る』と伝えといてくれないか...?」
「.....判ったわ」
敦の言葉に承知すると、モンゴメリはドアを指さした。
「あのドアを白鯨の外壁に繋げたわ。後は落ちるだけよ」
そう言われるも敦は「...いいのかい?僕を逃したら君はギルドから...」とモンゴメリを心配した。
だが此処に敦を連れてきた時からもう決まっていた。
「独りぼっちは、最初からですもの」
「それにアンに勝てる人なんて居ないわ、この部屋に居る限り安全よ」
敦はモンゴメリの言葉に安心したのか、少しアンドするようにドアに近付いた時だった。
「ねえ、憶えておいて?」
彼等が最初に会った時、二人は敵同士だった。
あの時敦は谷崎とそれに医者の振る舞いをしていたポートマフィアの
「ああ...あの人は結局マフィアの首相で」
「らしいわね、納得よ」
納得...、その言葉の意味に敦は「はて」と思った。
モンゴメリは今でも思い出す...『危害を加える敵には徹底反撃を』という言葉を。
あの魂を凍らせる目。
「貴方とおじさまが協力したせいで、あたしは負けた。
少し思うの、あんな風に最初から『探偵社とマフィアに同時に反撃されていたら、いくらギルドでもひとたまりもなかったんじゃないかって』」
「.......」
その台詞に敦はふと何かを思うも、「誰か来るわ、早く」と急かされた。
ドアを開けると、その先は確かに白鯨の外壁となっていた。空の上なので、かまいたちの様な強い風が激しく襲ってくる。
「ねえ、本当に大丈夫?確かにこの部屋の中なら君は無敵だ、でもそれってつまり...」
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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時