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【第八十話】 ページ33

「この傷の痛みと苦しさがどんなものか、貴方に想像できて!?」

そう言うとモンゴメリは袖を捲り、その時の傷を見せた。それはとても痛々しく、二度と綺麗には治りそうにない深い傷だった。


「...一日目に痛むのは骨。
でも一番きついのは三日目だ、動く度に火傷が擦れて死ぬ程痛む」


敦がモンゴメリに見せるは、これもまた赤桃に腫れた火傷跡だ。見ているだけでどれだけ痛かったのか痛感できるものであった。

「僕も同じ場所にいた、だから君の怯える孤独もよく判るよ。

でも孤独は、僕達を永遠に支配する王様じゃなかった。探偵社に来てそれが判ったよ。
孤独は時に消え、時に現れる、ただの朧雲だ」


「僕達にもう少し想像力があれば、もっと早く気付けた筈なんだ」


そう、全ては想像力の問題だったのだ。
横浜の街では今死のうとしている人達の中にも、敦たちと同じ境遇に置かれてる人がいる。
敦はその彼等を見捨てれば過去の自分を見捨てるになるとモンゴメリに言ったのだ。

「それでも良いのか?」


そう問いた瞬間だった。
敦の周りの風景は、アンの部屋へと一風した。

「此処は...」

「もう手遅れよ。
作戦書には一度発動した詛いの異能を止める手段は無いって」

モンゴメリはそう言うが、敦にはある案があった。

「いいや、まだ手はある。太宰さんの異能『人間失格』でその人形に触れれば、詛いは消滅する。

僕もそれで助かっ...」

たっと言った所でアンは敦を握り締め壁にドンッと押し付けた。


「無理よ!ここは空の上なのよ?何処にいるかも判らないその人に、どうやって人形を渡すつもり!?」


絶対的絶望なこの状況、どんな手を降しても無駄だと力ずくで教える。
が、敦の目はけして死んでいなかった。

どんな小さな希望でも拾い、大きな絶望しかない悪夢的状況でもやってやろうという、芯のある目だった。


「.....っ...そう.....やるのね」

「白鯨の対空砲に撃たれて死ぬか、地面に叩きつけられて死ぬか、地上の狂った人達に引き裂かれて死ぬか.....どれしかないと知ってて、やるのね」


「昔読んだ、古い本にあったよ」



『自分のした事に就いて後悔したことはなかった。しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた』

「僕は後悔したくない」

敦は思い浮かべていた。院の図書室で埃を被ってあの書巻(ほん)...書いた人の名は何と言ったろうか?...と。

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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時

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