【第八十二話】 ページ35
「君はこの部屋から永遠に出られないってことじゃ」
「察しの悪い人ね、ちょっとした口実よ」
モンゴメリは少々ぶっきらぼうに応えた、だがそれも彼への期待と信頼が混じったもの。それらを託し「生きて___いつかここから救い出して待ってるから」と微笑んだ。
彼女の微笑みに応える様に「判った」と一言で返すと敦は白鯨から飛び降りた。
この変わり果てた横浜に、希望の光を指す人として______。
────〇────
一方、敦が逃げたことによりギルド内は混乱していた。奴が自力で逃げたのか、はたまた裏切り者が現れたのかもハッキリしていない。
唯一判っていることは、彼は今空から横浜に落ちているということのみ。
「虎人が逃げた!空対空カノン用意!」
団長は逃がすまいかと白鯨内に敦を再確保するよう命じた。
「...」
だがそんな中、まるでサーカスに出るライオンの様に鎖で縛り上げられている人物がいた。
Aである。
彼は今団長と共には居ない。団長を見る限り「殺してくれ」か「死なせてくれ」としか言わないからだ。
Aの精神は団長の手によって崩壊寸前にされていた。
当然と言えば当然である。恩師、仲間、親がいる愛してやまない故郷をお前が壊したのだと吐かれたのだから。
ではその代わり、彼は今どこにいるかって...?
「それはそう、ここである___」
我がエドガー・アラン・ポオの本拠地だ。
「...Aくん、せめてそこは『ただの部屋ではないか〜』と突っ込んでくれると有り難いのであるが___」
今の彼はまともに話せる状態ではなさそうだ、まあ鎖で繋がられている時点でそうであるが。
彼は一変してしまった、昔ギルドに居た頃と。こんな我輩にもキラキラとした輝かしい天使のような瞳で話しかけてくれる彼は、先程会った時は既に存在していなかった。
死体と同じ部屋にいる気分だ、今にも吐き気が込み上げてきそうな程に気まずく顔を合わせることすら不可な場面。
「...」
正直、Aくんがあの『彼』と知り合いだと聞いた時は驚きを隠せなかった。
愛らしくも憎らしい我輩が求め続けた理想...。しかも彼はAくんにえらく気に入られていると聞いた。
もしかしたら彼ならAくんを正気に戻してくれるかもしれない。我輩はそう思い、復讐と願いを込め彼を呼んだ。
だがその前に、例の虎人が、そしてこの街がどうなったのかを見てみよう。
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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時