病 弱 な お 姉 ち ゃ ん【神威】

仲直り ページ11

あれから家に帰ると母さんが血相を変えて此方に近寄って来た



「その傷はどうしたの？」




そう問われて「路地裏の角にぶつかったの」そう言った


こんな下手な言い訳、母さんには通用しないのはわかっていた。けれど、心配をかけたくなかったの
母さんは「…そう。今度は気をつけてね」そう言って申し訳なさそうな表情をした。



・

____
ー

自室で先程蹴られたお腹の手当てを始めた
そんな頃


コンコン…


控えめなノックの後、小さな声で「…入っていい？」と顔を覗かせたから、包帯を巻いていた手を止めて「どうぞ」と返事を返す。




入って来たのは…神威




ゆっくりと私の側へと近寄ると顔をうつむかせた



「……」




少し待ったけど話す気配がないから私から話そうと口を開いた時





「…怪我」




え？




「怪我は…大丈夫？」





「えぇ。少し痛いけど…大丈夫よ」






「…そっかよかったヨ。＿＿＿！」






神威は巻きかけの包帯を目にすると


「俺が巻くヨ」


そう言って巻きかけの包帯を手に取った



神威はベッドに腰掛けると包帯を丁寧に巻いていく



シュルシュル…



「…ありがと_____」



「いらないヨ」



え…



「姉さんはありがとうなんて言わなくていい…それは……俺の台詞だヨ」



包帯の手を止め此方を見上げる神威



「…助けてくれてありがとう。あの時、姉さんがいなかったら…神楽は蹴り飛ばされて、怪我だけじゃ済まなかったかもしれない…

それと、…あの、さ…話しかけようと、してくれてたのに…無視しちゃってゴメン…何話せばいいかわからなくて…」




うん…知ってた


だって、それは私も同じだから



「此方こそ…ゴメンなさい。あんな風に言うつもりは…なかったのに貴方に冷たい事を言って…」




「ううん……謝らないでヨ。
それに＿＿＿」




「何？」




「いや…何でもないヨ」



キュッ



いつの間にかお腹の包帯が綺麗に巻かれていた
そう云えば神威は器用だったわねぇ



「できた…姉さんは安静にして寝ててネ。」




直ぐ戻ってくるから…そう言って此方を見ずに部屋から出ていった






__________________
ーー


部屋を出た神威が、偶々母さんの病の本当の理由を知ってしまうことに


私はその時…知らなかった






次回: 私のお姉ちゃん side 神楽

私のお姉ちゃん side神楽→←暗い路地裏 side神威

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