紅い噛み痕をつけて【AtR】

＊ ページ45

*




「A？ねぇ…起きて」





いつもそんな声で囁かないから
秒で目が覚めた





「ぁぁぁぁあっ…彼方っ……？」



ぱっちりと目を開くと、
真横にいるかと思っていた彼は
私の上にまたがっていた





「彼方っ？」




「んー？」





いつもと同じなのに、
こんなにひっついてくるなんて…





「やっぱり、さっきのが…いけなかったのかな…」




「こっち向いて？」




真冬君は私にへんな薬を渡したんだっと思った瞬間

彼方の手が私の頬に手を添えると
くっと顔を上げさせられて



チュッとリップ音を鳴らした





「ふぁぁぁぁぁあぁっ…」


最近、キスしてもらってなかったからか

突然のことに頭から脳汁が飛び出そうだった







「A？」


それを不思議そうに見つめて
またそっと近づいてくる




これまた、可愛いしかっこいいし

私の命日だ…と確信をした





「真冬君ありがとう、私は最後まで幸せだったよ」



と呟くと



急に彼方の動きがぴたっと止まって

私の顔の横に手を置いた




「真冬…が好きなの？」




「ん？」






見下ろされて、
彼が低い声でそんなことを言うから


「ち、違うよ」



慌てて言うと、もっと不機嫌な表情をして







「その慌て方………真冬と浮気でもしてるってこと？」



なんていい始めた。

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