掌握少年『頭が高いぞ』 ページ10
第四クォーター開始直後、それは訪れた。
敵陣でボールを受け取った黄瀬がシュートフォームを構えて、深く沈む。
ジャバウォック70 対 ヴォーパルソーズ60。
これが決まれば点差は一桁台。観客は期待に胸を膨らませ、長い軌道を描くボールがゴールするのを待った。
しかしネットを揺らす音は訪れなかった。
ﾎﾞﾝｯ。ゴールよりも遥か手前にボールが落下する。同時に、黄瀬が膝からくず折れた。
「黄瀬くん！」
黒子と同時にAが叫ぶ。だがもはや黄瀬に立ち上がる体力は残っていなかった。
床に手をつき、倒れ込みそうな身体を支える。
黄瀬は荒い呼吸を繰り返しながら、口元を緩めた。
「ははっ･･････カッコわりー」
「格好悪いものか」
黄瀬の小さな呟きを近付いてきた赤司がピシャリと否定した。赤司は黄瀬の手をとり、自分の肩を貸すと黄瀬を抱き起こした。
「ここまでよくやった」
「赤司っち･･･」
「あとは任せろ。涼太」
「え？」
赤司に連れられて歩きながら、黄瀬は目を瞬かせる。ベンチに来た赤司の左眼を確認したAは、否、目を見らずとも雰囲気で感じ取ったAは
すぐ、彼がもう一人の彼に変わった事実に気付いた。
「征くん」
「どうした、A」
「ワクワクしてる？」
Aの言葉に赤司はキョトンと目を見張らせた。ベンチに降ろされ手当てを受ける黄瀬も"やはりか"と人格交代に納得すると同時に驚いている。
「久し振りでしょ、皆と･･･ううん、バスケをする事自体が」
「えっ、カメそれって･･･」
「･･･ふ、君は本当に僕の事をよく見ているね」
左右の虹彩の色が僅かに異なる冷徹な瞳。
だがその太陽と月の光は暖かくAを照らし出す。
「切羽詰まった状況には変わりないが、まぁ･･･折角の機会だ。楽しんでくるよ」
汗だくの顔がふわりと柔らかく笑った。嗚呼、この彼も好きだ。
「魅せつけてきてよね」
「そのつもりだ」
ニッと笑った。
◇◇◇
ゲームが再開。ナッシュは目の前に立つ赤司に言った。
「残念だったなぁ。これでまた状況は元通りだ。無茶した所で結果は変わらねぇのによぉ。無意味な努力、ご苦労様だぜ」
嗤ってナッシュはシルバーへパスを出す。ハズだった
だが皇帝の腕に弾かれその球はあらぬ方向へ。
赤司は平然と見下ろした。
「絶対は僕だ。頭が高いぞ」
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KAME(プロフ) - フォルケさん» おーちゃんの行動の違いによって、辿るべきであった現実が現実でなくなる表現をしたかったので、フォルケさんの感想はとても嬉しいです！時間を巻き戻したとはいえ、彼らは既に同じ状況を味わっている筈ですから、そこから感じる違和感どう影響するのか、お楽しみに！ (2020年2月28日 0時) (
レス) id: fdbbe5c8da (このIDを非表示/違反報告)
フォルケ - カメちゃんのほうは、大きくは流れは変わらなくとも多少違いが出ていますね。赤司くんと青峰くんの会話、楽しかったです笑 むっくんもおーちゃんにやっぱり違和感を感じたみたいですね！繰り返されている影響が、どんな風に出てくるのか今後の展開が楽しみです！ (2020年2月24日 13時) (レス) id: 08cae29693 (このIDを非表示/違反報告)
KAME(プロフ) - siriusさん» ひょえーい！！ばちクソ嬉しいコメントありがとうございます！！！古代から人間は興奮すると親に怒られる生物です。もっと怒られて下さいね！() これからハッピーに向かうかバッドに向かうか迷っております笑今後ともよろしくお願いします！ (2020年2月20日 18時) (レス) id: fdbbe5c8da (このIDを非表示/違反報告)
sirius(プロフ) - 通知が来た瞬間「いええええい！(クソデカボイス)」で発狂し、両親に煩いと起こられました() KAMEさん！こんなに面白い作品を作って下さってありがとうございます！！ 巻き戻った世界で主人公さん達がどうなるのか。 とても楽しみです！ 更新頑張って下さい！！ (2020年2月20日 15時) (レス) id: 8e452ea20f (このIDを非表示/違反報告)
KAME(プロフ) - フォルケさん» いつもコメントありがとうございます( ´ω｀)桃井さつきは黒子テツヤと同じくらいといっても過言ではない程に観察眼が鋭く、加えて洞察力も馬鹿に出来ないですからねー！気付けてもおかしくないかなと思い描写しました！ゆるりとで申し訳ないですが更新頑張ります！ (2020年2月20日 15時) (レス) id: fdbbe5c8da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KAME | 作成日時：2019年6月13日 2時
