４０億の時の針

時・40 ページ42

太輔は… 何度も何度も謝っていた。



― 『 イライラしてて… 』 ―




… と。




でも、それは 嘘だよね？



友達と言われても 私はただの元ファン。ファンは一線を越えてはいけない。



それが暗黙のルールなのに…



それを私は有頂天になり 破った。太輔をイラっとさせてしまったんだ。



あんな大声で… バレていたと思うと、本当に怖い…



「Aは 何も悪くないから もう泣かなくていい」


「でも… ごめ… 」



むにゅ。




… へ？



何？この手…



口が裂けそうなんですが…



「あにょ、い、いひゃい… 」


「もう 謝らないの！俺が悪いんだから」



ボフッ。



「うっぷ… 」


「もう 寝ろ」



… え？



「寝てないんだから」



あ…




うん…




ずっと… 考えていたから…




ポンポン…




ポンポン…




「明日になったら いつものAになってて… 俺もいつもの俺になるから」




ポンポン…




「で、一緒に散歩行こう… いつも通り、な？」


「… うん… 」



いつも通り… 一緒に散歩…




リズムのいいポンポンに安心し… 一気に睡魔に襲われ 撃沈。




その日 とても幸せな夢を見た。




「ん… ？」




あ、朝…




オレンジのカーテンから差す朝日。




「すごく 寝た気がする… 」




なぜか、あの死んじゃいそうな心は すっかり回復していた。




「でも… 、なんか 重い… 何で？？寝すぎたのかな？」




え…




…




嘘っ…




「すぅ… すぅ… 」




！！！！！！！！！！！！！！！！？




「た！んぐぐっ！！」



名を飲み込んだ！！



…



「はぁはぁ… 嘘っ… 何でここに？？」



太輔が寝てるの？？



ベットに寄りかかり ぐっすりと寝ていた。



「えっと… えっと… 私… 昨日… ？？」


「はっ！！」



そうだ…



昨日… 太輔が謝りにきてくれたんだった…



「夢じゃなかったんだ… 」



マジマジとその寝顔を見る…



可愛くて きゅん。



でも…



「ダメダメ、もう 好きになっちゃったらダメ！」



もう 夢を見てはダメ…



この人は、恋をしてはいけない人。



絶対にダメよ…



…



「よし、起きよう！」



元気にならなきゃ！！




そうよ！夢じゃない 太輔が言ったように、いつもの私に戻らないと。




元気よく襖を開けると そこには またしても意外な光景が！！




渉と拓斗がコタツでスヤスヤと寝ていた。

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