心配なのは、 ページ36
クロノアside
早く帰らないとな、と考えていた。そりゃもちろん大好きなAが風邪をひいたのだ、まともに仕事さえ出来なかった。…といいつつ、今日までのノルマは達成出来たし上司にも理解は得られてるからあとは家に帰るだけ。
「っよし…」
大量に買い込んだ食料品などを両手に持ち、ガサガサと買い物袋を揺らした。早く帰って疲れてるであろうぺいんとたちにも美味しいご飯を作らないとなぁ、そんなことを考えながら家までの道を歩く。
ふと気付いたのは、あともう五分で家が着くという時だった。
「……あれ？」
目の前から歩いてくるスーツ姿の男性。
どこか見覚えがある……というか、毎日見ている。だとしてもまだ16時。彼が帰ってくる時間はいつも20時だから、そんなはずないのに。
何度見ても、歩き方や見た目は彼そのものだった。
極めつけは、立ち止まった場所。
家を真ん前に、俺たちは向かい合って立っていた。
「……ト、ラゾー…」
「あ。クロノアさん。お疲れ様です」
さぞ当たり前のように微笑む彼を見て、思わずビニール袋が地面に落ちた。数秒立ってから卵が割れていないか、今更心配になって慌てて持ち上げる。
「お、お疲れ……じゃなくてっ！どうしたの？いつもより何時間も早い帰宅だけど」
「そりゃまぁ……ねぇ？」
ごにょごにょと言葉を濁す彼は、鍵を差し込んでいて、いつもより手早く回している。反対の手にはビニール袋。中身を覗くと、彼に似つかわしくないりんごゼリーとみかんゼリー…その他諸々……
…………もしかして、
「Aが心配で帰ってきたの？」
「…………まぁ…そう、ですね」
何故か恥ずかしそうに笑っているトラゾーを見て、俺は思わず笑ってしまった。
いつもあんなに残業も頑張っているトラゾーが、風邪をひいたAを心配して定時よりも早く上がるなんて。意外だった。
俺の笑い声はリビングに居たしにがみくんにも聞こえていたのか玄関まで駆け寄ってくる。
どうしたどうしたと騒ぎ立てる彼に事情を説明すれば、彼も同じように笑ってくれた。
そうか、みんな思っている以上にAが大好きなんだなぁ、
そう考えて、俺はもう一度笑いが零れる。トラゾーの怒った姿を宥めつつ、リビングに向かった。
心配なのは、俺だけじゃないみたいだ。
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かめそん(プロフ) - カケラさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉ありがとうございます、、これからも更新頑張ります！ (2023年1月10日 14時) (
レス) @page40 id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
カケラ - いつもほっこりするお話ありがとうございます！癒しです。読んでてすごく優しい気持ちになれました！もうこれは優しい大人になるしかない！()これからも扉の隙間から応援してます！ (2023年1月10日 12時) (レス) @page40 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - 憂夢さん» コメントありがとうございます！お話読んでくださって、嬉しいお言葉まで頂いて幸せです、、！ありがとうございます！ (2023年1月9日 16時) (レス) @page12 id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
憂夢 - 小説読ませていただいてます！かめそんさんの日常組の小説大好きです…！いつも素敵な小説をありがとうございます！！これからも応援してます！ (2023年1月9日 13時) (レス) @page38 id: e4847ea383 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - かにかまさん» 新年初のコメント拝見でとても幸せな気持ちになりました、、、！ありがとうございます。これからも更新頑張りますので読んでくださると嬉しいです！ (2023年1月1日 2時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かめそん | 作成日時：2022年12月2日 20時
