7call 君には見えない ページ8
「花京院くん!」
「A、少しぶりだね。何だか永らく会ってないみたいだ」
「永らく会ってないと同じだよ、わたしにとっては」
紫色の瞳は相変わらず優しく見つめてくれ、わたしを安心させる。これに会えなくなるなんて、わたしは嫌だ。
「A、一応その、ぼくの後ろにあるものは見えるかい」
花京院くんは、ぼくの後ろと言ったがその後ろには
「えーっと……桜の木のことかな」
そう答えると、分かっていたかのように落胆する彼がいた。沈んだ雰囲気と、困らせてしまったという彼の失意に塗れた笑顔だった。
「君には見えないのは知っていたから、無意味なことをしたのはぼくなんだ。そんな悲しそうな顔をしないでくれ」
彼の期待に応えられなかった悲しみが表情に滲んだのか、彼はわたしの頬を手の甲で優しく撫ぜる。
「ぼくには、
風が吹く。わたしと彼の髪が揺れるほどに、風が吹く。世界の理を変えるような発言をかれはわたしに告白した。
「今迄、そのスタンドという能力が見える人は、いなかった。でも今回ぼくの命を救って、エジプトへ共に目的を果たしに行く仲間は同じスタンド使いなんだ」
解らない。彼の言っていることが、理解出来ない。
「その、目的ってなに?」
「ぼくを命の危機に晒した、吸血鬼さ」
ついていけない。解らないんだよ。
「吸血鬼なんて、本当に……」
「いたんだ、そしてヤツのせいで色んな人の命が危ない」
花京院くんの、命が危ない目に遭ったのは嫌だ。その人たちのおかげで今の花京院くんがいるのも、すごく有難い。
「でもっ、そんなところに行ったら花京院くん、今度こそ本当に命が危ないんじゃ」
「ああ、でもぼくはぼくの意思でついて行くことを決めたんだ。だから、そこはAでも変えられない」
わたしは、たった一人の大切な友人を失うの?
「絶対、帰ってきてね」
「もちろんさ、出先で電話もするよ」
約束は
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作者名:山葵しょうちん | 作成日時:2017年10月4日 2時