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4call 不都合 ページ5

当たり前に昼休みはやってくる。その間気が気じゃなかった、給食もあんまり味がしなかった。

「じゃあ行ってくるね」

真田さんが女子数人と教室から出て行くのを確認して、わたし以上に不安そうにしていた花京院くんにそう告げる。

「本当に行ってしまうのか?あまり良い予感はしないんだけど……」
「たぶん、大丈夫だよ」

大丈夫じゃないのは分かる。そこまで鈍感ではないし、経験も浅いわけじゃない。ただ、やっぱり無視するわけにもいかない。

「じゃあ」

頑張ってね、と最後に言われ、理科室に到着する。校舎が違うから、少しかかってしまったが、真田さん達は待っていた。

「あの、何の用なんでしょう……」
「雨宮さんさあ、花京院君と付き合ってんの?」

思いがけない質問だった。何となく、また前みたいに言い掛かりを付けられてしまうのかと思ったが、飛んできたのは意外なものだった。

「付き合ってはいないけど、どうして?」
「雨宮さんって、花京院君とずっと一緒にいるでしょ?」
「花京院君はカッコいいし、狙ってる女の子いるんだよね」

話の大筋が見えてきた。細かいことはあまり分からないけど、要するに花京院くんと関わるのをやめて欲しいという要望だということは分かった。

「花京院くんと一緒にいると不都合だってこと……ですよね」
「話が早いね!雨宮さんが花京院君と付き合ってるなら、話は違うけど、そうじゃないなら距離を取ってほしいんだよね」

真田さんはまるで全女性の代表みたいな態度で、わたしに主張してくる。わたしの唯一の友人と離れろ、離別しろという要求を。

拒否したい、でも拒否したらどうなるかは分からない。嫌な目に遭わされるのは、すごく嫌だ。

「彼は、あの、たった一人の友人なので、彼がいなくなるのは寂しいので……」
「え?花京院君以外の友達いないの?」
「は、はい」

真田さんは心底驚いた顔をして、友人達と顔を見合わせる。少し距離を取っているわたしに背を向け、その子達とヒソヒソと話し込む。

何を言っているのかは聞き取れなかった。当然だろう、聞き取れないように話しているんだ。ああ、嫌だ。見定めるような視線、そして思いの外恥ずかしいことをわたしは言ってしまったのだ。

「雨宮さん、ごめんね。あたし達そうだとは知らなくて、そういう事なら花京院君とは距離取らなくてもいいよ」
「え?」

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設定タグ:ジョジョの奇妙な冒険 , 花京院典明   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:山葵しょうちん | 作成日時:2017年10月4日 2時

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