2call 春、出会いの季節 ページ3
それから、わたしは花京院と関わるようになった。
「花京院くん、帰ろう」
「うん、行こうか」
放課後の校庭はサッカーで遊ぶ男子や、ブランコで遊んでいる子がいっぱいいた。その中に混ざれないわたし達は、それを見て見ぬ振りしながら通り過ぎる。
「花京院くん、あんまりわたしといたら、お友達出来なくなっちゃうよ……?」
友人がいない自分と関わる花京院くんの周りに、友人らしき人物を見たことが無かった。わたしを庇ったせいか。
「いいんだ、ぼくはあんまり他人と関わりたくない」
「もちろん、君を除いてね」
花京院くんは、時折難しいことを言う。わたしには理解出来ない何かを抱えているのかと、幼心にも察することができた。
「あ、バイバイ」
「またね」
花京院くんはランドセルを揺らしながら、わたしとは別の下校ルートを辿る。いつもこの背中を見るのが嫌だった。出来れば、今日は終わって欲しくなかった。
家に帰れば、お母さんはいつも待っていてくれる。
小学五年生の春、このときわたしはまだ知らなかった。花京院くんが、かけがえのない存在になることを。
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作者名:山葵しょうちん | 作成日時:2017年10月4日 2時