91話 早く向かえ ページ45
「……ふふっ…」
「……ふーん……立ち上がるんだ」
大木に手をつきながら足を奮い立たせた。このまま攻撃をしたいところだけど、今は体力も少ない。この状態で戦っても結果は歴然。
立ち上がる私に驚いたのか、攻撃をやめる男。こいつからしたら今の私は虫の息。一発食らわせれば済む話なのに、なぜか手を止めている。
「…っ何で…攻撃を止める……」
「殺すのはもったいないと思ってね。それに、君を倒してしまったらあの方が怒ってしまう」
「……っあの、方……?」
「……これ以上は言えない。ところで、君は俺がここに現れることを知っていたのか?」
「……どういう、意味だっ……」
「……いーや。こんなところでくたばってていいのかなーって」
何だ……何が言いたいんだ、この男。
私を攻撃している間も取れなかったフードのせいで、男の表情が読めない。言葉だけで判断するなら何か知っているようだけど。
一体何を――――。
「…っま、さか……」
「お、ようやく気付いた?」
嫌な予感というものほどよく当たるもので、この男が何を伝えたいのか分かってしまった。
私がその事実に気づいた頃、タイミングよく飛んでくる―――烏丸。
「カァァァ任務、任務ゥゥゥ! お館様ノ屋敷近クニテ、火ノ鬼ガ現レタァァァ!!」
「火の……お、に……?」
『鬼の焔ビトだ!』
浅草を二度も襲い、町が焼け焦げた。
倒すために、多くの人が犠牲になった。
そんな……そんな奴がなんでここに……!
私の動揺を察した男は「クッハハ…!」と大声で笑っている。
「……にが、何がおかしい! あん、た……何をする、つもりで……!」
「ははっ……本当に食べたのかぁ。案外“鬼”も単純だね」
「……鬼……たべ、る……」
“鬼”―――“食べる”。
この言葉だけで、この男が何をしたのか理解できた。そしてそれは、とんでもなく危険なことだっていうことも。
「すぐにっ…行かなきゃ……」
早く戻らないと。
お館様のところへ、しのぶさんのところへ……――!
じゃないと、みんな……鬼殺隊のみんなが……!
大きく息を吸い込み、酸素をたくさん取り込む。こんなことで発火能力を上げられるとは思ってない。けれど、今はこれしか方法がない。
「……飛ぶ、誰よりも速く……
バシュゥと勢いよく噴き出す炎は、私を火が暮れた空の彼方へと飛ばした。
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☆りんご☆(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます! 宇髄さん流に褒めていただきとても嬉しいです! もっと派手に盛り上がるよう頑張りますね! (2020年3月13日 0時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めちゃくちゃ面白いです!もう派手派手です((←更新頑張ってください! (2020年3月8日 16時) (レス) id: a5bea457da (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます! 炎炎ノ消防隊はアニメしか見てないですけど、面白いので是非見てみてください!! 時間はかかりますが頑張ります! (2020年3月7日 2時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - すごくおもしろいです。炎炎の消防隊は読んだことがなかったのですが、この夢小説を読んで興味がでました。続きが楽しみです。 (2020年3月5日 23時) (レス) id: 999b324e53 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - 夜桜さん» コメントありがとうございます! そこまで楽しみにしていただけてとても嬉しいです(*´ω`*) 納得のいく文章を考えるのに時間がかかりますが、早くお届けできるよう頑張ります(`・ω・´) (2020年3月4日 1時) (レス) id: 0283dc52d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年2月25日 15時