【鬼滅の刃】消させないよ、誰にも その2【炎炎ノ消防隊】

54話　初任務 ページ8

烏丸に急遽任務の連絡をもらった私は、北北西へと向かって歩いている。

せっかく炭治郎達とゆっくり話せると思ってたのに……。



「……このクソ鴉が」

「アァ！ A、何カ言ッタカァァ！？」

「ちっ。耳だけはいいのね」

「A！ 冨岡ヲ探セェェェェ！！」

「分かったよ！ 突いてくるな！！」



あまりにもしつこく私を突くいてくるから、それが痛くて「探す」なんて言ったけどさ。

冨岡って誰なんだ？
柱の人と一緒ってしのぶさん言ってたし、私を殺そうとした人なのは間違いない。

でも全然顔も名前も出てこないんだよねー。


町につき、冨岡と呼ばれる人を探す。
甘味処に雑貨屋、食事処……などなど、浅草と同じような風景だ。

しかも人が結構多い。
この中から顔も分からないのに探すなんて無理がある。


そう思った次の瞬間だった。



「はいよ、団子二つね」

「……どうも」



甘味処で団子を食べている一人の男を見た途端、私は瞬きを数回繰り返した。

声も、顔も、なんか覚えがあるんだけど。
それと今まで溜め込んでいた何かが溢れてくるような感覚に陥る。



「烏丸、冨岡って人は―――」

「奴ダァァ！」



私の問いかけに間髪入れず答える烏丸。
きっと私が思っていることが分かったんだろう。

いやそれにしても。
そういうことってあります？


『お前が鬼なのは証明された』


……あいつ、私のことを散々振り回したやつだよね？


ドカドカとその男の目の前まで歩く。なるべく冷静を装って。



「………」

「………」

「……モグモグモグ」

「……っ任務はどうしたんですか！？」

「……来るのが遅い」

「……すいませんねぇ！！ 何せここに来るのは初めてなもんで！」



団子を頬張りながら私に冷めた目を向ける男。

何だろう、特に何もされてないけどムカつく！



「……鬼の情報は知っているのか？」

「情報？ そんなのあるんですか？」

「…はぁ…何も聞いてないのか」

「その顔やめてくれません？ 殺したくなるんで」

「物騒だな」



団子を頬張った顔でため息吐かれたんだけど。

仕方ないじゃないか、初任務だし。
私の鴉なんかマイペース過ぎて話にならないし。





「てか、さっさと食べてくださいよ」

「まだここに来たばかりなのだが」

「そんなんでいいのかよ」

「鬼は夜にしか現れない。今は情報収集だ。お前が行け」

「命令してくんな！ 行きゃあいいんでしょ！！」








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