【オリジナル】好きだったと告げるだけ。【片思い】 (ページ3)

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小学三年生、春

どこかのニュースキャスターは桜が満開だとか言っていたが、いちめん真っ白、ピンクなんて見当たりやしなかった。

クリスマスも、お正月も終わり、これからは再び学校が始まるという嫌な思い、というわけでもなく、『山田るい』は自身の学校へと向かっていた。

小学生らしさが詰まった、どこか頭の抜けた女の子。そんな言葉が彼女にはぴったりだろう。

さくさくと心地の良い音を鳴らしながら登校する彼女には、この世界はそんなふうに映るのだろうか。

僕には分りも考察するもできなかったが、どうかその世界は美しいものであると願うことしか自分にはできない。

いや、何も考えてないこともあるのだろうか、彼女は僕にとって不思議な存在だ。そんなこと多々あるから、結局いつも答え合わせはできないまま。

「さく‼はよ‼」

7時30分、無事到着。彼女の目に映ったのは「守田朔」

「はよう、るい」

朔は軽く手を振り、優しい笑顔で見せた

彼の身長は転校時にはるいより小さく見えたが、今じゃ５㎝強離れてしまっている。

決して彼女が小さいわけではない。なんならこんな小さな町では大きなほうだ。

朔の、男の子の成長期が少し早く来てしまっただけだろう。

「なんでこんなこんでらん？」

るいは首をかしげて朔に問う。

「そら、今日クラス替えだからな、」

そんなるいにさくは冷静に答え、彼女もそんな彼に違和感覚えることなくふーん、とかるく受け答えた。

「おんなじクラスだといいな」

そう、るいは無垢な笑顔で朔の方を向く。

「せやな。ただ席ははなれるといいな。」

「どこ行ったって守田の「も」と山田の「や」で一緒やからな」

はは、とお互いに脳を使わないような会話をして、ふぶいてきたかぜを気にもせず。

千葉から越してきた朔は、もう２年こちらで過ごしてきたというのに、そう簡単に変わりはできないのか標準語は変わらず、るいは少しだけ東北訛りを聞かせていた

「ほら、まえすすんだで、いくよさく‼」

ほんの２メートルくらい進んだだけではしゃぐるいにさくはあきれつつ、ゆっくりと近づいた。

「えーと守田守田…んあった‼下に山田もいる‼やったね今年も一緒だ‼」

「まじかやったじゃん、」

さくとるい。気づけばお互いにお互いでなければならない存在になっていた気がする。

まだまだ寒い季節。二人で白い歯を見せあい、白い息を吐いて。

そんな動作に愛らしさを感じる。