人影は波に飲まれた赤の雪 ページ15
何年も前の赤
まだ海水浴には早い春、空は雲一つない晴れだった
プールで遊ぶ季節までは行かないがプールがある施設で催し物があり、それなりの人がいて宮舘もその催し物に参加していた
本当はくるつもりではなかったのだが、友人に誘われ仕方なく来ていた
早く終わらないかな、なんて思っていたが催し物が終わりに近づくと嫌な予感がし始めた
付き添いの友人の親に話したところで相手にはされないだろうと誰にも言わなかったのだがその嫌な予感は的中してしまうことになる
「ねえ、涼太、あの人変じゃない？」
「、確かに、どうしたんだろう？」
友人がこっそりと教えてきた人は明かに不審者だった
全身黒の服で背格好的に男の人...
宮舘はその不審者を見ていたが、友人はそれだけ言うと何処かへ行ってしまった
友人の姿を見失ってしまい、仕方なく男の人の方へ視線をやった
男は挙動不審で主催者の人も気づいたらしく、声をかけるところだった
少し距離が離れている為全ての会話は聞こえないが断片的に聞き取れた
「.........お兄さん、どうか....ましたか、？」
恐る恐るという風に聞いていたが男は何も言わない
何かを探すように視線を彷徨わせ何か呟いている
話しかけても反応がないならばと主催者が肩に手を置いた途端、男は暴れ出した
男は上着のポケットからナイフを取り出し、主催者を刺した
そのままナイフを抜き取り気づいていない人々に刃先を向け、叫んだ
「全員、しねえええええ！！！」
数秒後、宮舘の周りには大人や子供世代を問わずに身体から血を流した人が倒れていた
少し汚れているプールはプールサイドに倒れた人の血により少しずつ赤に染まって行く
宮舘の頭に警鐘が鳴っている
逃げろ、逃げないと、早く！
その場から逃げ出そうとしても足が竦んで動けない
暴れ回る男を見ながら、子供ながらに宮舘は滑稽だと思っていた
そんな中、血塗れの銀色が宮舘の方に向いた
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作者名：coolk | 作成日時：2020年3月13日 19時
