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正直なところ、サトシはまだタキ王に会いたくはなかった。
何と言って報告すればいいのか。
ライの死についての一部始終を知っているのはサトシ一人、タキ王が会いたがっている理由は明らかだった。
あのとき――
イールは気付いただろうか、サトシには分からなかった。
イールは何も言わなかったのだから。
そんなことを取り留めなく考えながら控えの間の扉の前に立つ。
「公爵様、中へお入りください」
衛兵の敬礼に頷き、開かれた扉をくぐり、中へと入っていった。
待ち構えていた侍従に案内され、謁見の間に通されたサトシは、玉座を前に跪き頭を垂れて王の出座を待つ。
その顔には怯えも恐れもなく静かだった。
程なく侍従がタキ王の出座を告げられ、サトシは更に低く頭を垂れる。
「顔をあげなさい」
タキ王の低く穏やかな声が降ってきた。
サトシは静かに顔を上げ、タキ王を見上げた。
見事な銀髪は神々しく輝き、慈愛に満ちた碧眼は優しくサトシを見返している。
「此度は誠に苦労をかけた」
「己の力が足りず、大変な損害を被ることになり申し開きの言葉もありません」
俯いて唇を噛みしめるサトシ。
「傷の具合はどうだ。シエラにはもう会って来たか？」
タキ王はいつもと変わらぬ声色でサトシに問う。
「傷はこの通り、日常生活に支障ない程度には回復しました。
後は隊務復帰を目指すばかりです。
姫様には…シエラ姫には本当に心配させてしまって…申し訳ありませんでした」
サトシは改めて深々と頭を下げる。
「あれは、そなたが専属になった時から、明けても暮れてもサトシ、サトシだからね。
今回のことはずいぶん心を痛めていたようだ」
それについてはすでに肌で感じて来たところで、言葉もなく項垂れるサトシにタキ王はあえて言う。
「二度とこのようなことにならないよう、胆に銘じて鍛錬に励むように。
シエラをあのように悲しませることはこのタキ王が許さない」
「御意のままに」
珍しく強い口調でサトシに迫るタキ王は、自身の悲しみを持て余し、
その眼には悲しい色が滲んでいる。
サトシはさらに深く頭を垂れる。
「ところで、サトシ。ひとつ、そなたに聞きたいことがある」
タキ王は玉座を下り、跪くサトシに近づいてゆく。
衣擦れの音が近づくにつれ、サトシの鼓動は早まり身体は強張る。
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ＡＫＩＲＡ(プロフ) - ミルクさん» ミルクさん、コメントありがとうございます〜楽しんでいただけてとっても嬉しいです。このお話に三男は出てこないし、次男もちらっとでただけ（汗）ミルクさんのご贔屓は出てきましたか？他のお話も是非！そしてよかったら感想を教えてくださいね。 (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
ミルク(プロフ) - とても楽しくて一気見しちゃいました！あとの二人がいつ出てくるのもとても楽しみになりました！更新頑張ってください！ (2020年9月10日 9時) (レス) id: 40fefb6cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - bunkichiさん» 過去編長かった〜（汗）我ながら呆れてしまいます。描きたいことがたくさんあって、欲張るからこんなことに…このパートもあと少しで一杯ってところでやっと現在っていう（笑）この後、少しでも隊長らしいところをお届けできるよう頑張ります!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
bunkichi(プロフ) - AKIRAさん、こんにちは。過去編終わりましたね。最初からまた読み直して、過去編は1年前の出来事、レックスさんに「非業の死」と言われて動揺しちゃったところにちゃんと繋がりましたよ。親衛隊長なのに小柄ですごく可愛らしい智くんが目に浮かびます。ステキです。 (2020年9月6日 7時) (レス) id: b3195af20e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - bunkichiさん» bunkichiさん、こんばんは〜ちょっと明るい感じになりましたが、もう少しで過去編終わります。が、このパートに入りきらないことが確定〜〜！少し入りきらない（泣）過去編だけの話にするべきだったかなぁ…今更だけど（笑）ということでもうしばらく続きま〜す。 (2020年8月22日 1時) (レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2020年7月19日 1時
