裏切りとの戦いは知っている 奮闘編

な、何故？ ページ5

授業を終えると、二人で談話室に向かった。
「証拠は十分だよね？」
今になって不安になってきて聞いてみた。
「一応ね。莉奈さんは結構名の通る人だし杏奈さんは始めて会ったけど、位も高いしね。多分安心かな」
え？
「杏奈さんとは初対面だったの？」
「あ、うん。私と面識のある人だと何か細工したんじゃないかって言われたらたまんないでしょ？」
ふむ。そういう事かぁ。
でも……
「もし何かあって、また私達が疑われたら？」
三花は首をまわして少し考えた。
「ま、その可能性も無きにしも非ずだけど、堂々としてれば良いわよ」
そんなもんかぁ。
メンタル強いんだね。
「さ、いよいよ勝ち戦よ」
三花は談話室のドアを静かに開けた。

談話室の窓際の隅に男子メンバーと西野さんが座っていた。
男子メンバーは何故か霞んだ、色のない目をしていたんだ。
「遅れてごめん。会議、始めよう。先攻どうぞ」
私達は座る椅子がなかったから床にしゃがむ。
若武は腕を組んだままななめ上を見る。
「俺らの結論としてはお前らがいじめてるってのが一番有力」
次いで上杉君。
「証拠としては西野の友達から黒木のコネを使って調べた所、全員がそう言っていた」
そして黒木君。
「何をされたかについても全員が同じ事を言っていた。食い違いもなし」
「全員が口裏を合わせたって事は？」
「なし。結構大人数だったし、そう簡単には無理だろ」
忍が即答する。
「そして一対四なんだからいかにも、でしょ」
小塚君。
「って訳で結論に至ったって事」
「じゃ、私達も」
三花はそう言うと、私に白い手袋を渡してきた。
「写真並べといて」
そう言って封筒を渡し、三花はさっき印刷してもらった分析結果表を見せ、写真の隣に並べた。
「これ、この写真の分析結果。明らかな合成写真よ。ちゃんと証明書もあるわ、サインつきでね。これについてはどう説明するの？」
西野さんはうろたえる。
「ねえ知ってる？事件の解決は、物的証拠がないとほとんど成立しないの。男子メンバーが言っているのは状況的証拠であって、裏付けられない。でも私達のは物的証拠。合成だという証拠はもうあるわ。どういう事が説明してもらえる？」
西野さんは泣きそうな顔をしてもごもご言っている。
「ちょっと待てよ」
音をたてて立ち上がったのは翼。
「じゃ、こうは考えられない？四人は決して証拠を残さなかった。耐えきれなくなった西野達は、最終手段として合成写真を作った、と」
………………はっ？
え………………？

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