【原神】異世界二周目、推しのために推し(の視界)から逃げ切ります。

Ep.6　つまり時間制限ってことでよろしいか？ ページ6

拝啓、私。

やらかしました。
この展開は予想していませんでした。

まさか万文集舎に寄らずに引き返した結果、店の常連さんに捕まるとは一切思っていませんでした。
まずいです。
かなりまずい状況になってます。

なにが一番まずいかというと、捕まった場所です。

錬金台の近くです。
すぐそこに解翠行があります。

つまり何が起こるかというと、あと数十分もしないで来ます。

旅人さんと、あの方が、最高級の夜泊石を買いに、来ます。

どうしたらいいですか。
助けてください。

私より。





「Aちゃんも偉いわぁ。毎日大変でしょう？」

「いえ、そんなこともありませんよ。皆さん優しい方ですから…」

目の前の常連さんを振り切ることもできず、時間は迫っている。
もうだんだん泣きそうになってきた。

少し遠くから特徴的な少し高い声が聞こえる。
一周目の私が何度も聞いた声＿＿＿＿＿パイモンの声だ。

待って。待って待って待って待って。
本格的にまずい。

詰んでないこれ？ 大丈夫？

「あら…？ 顔色が悪いけれど大丈夫…？」

心配そうな顔をする常連さんに、希望が見えた。

＿＿＿＿チャンスだ。
上手く切り返せれば解放してもらえるかもしれない。

でも下手に「体調が…」とか言ったらむしろ騒ぎになりそうで怖い。
何よりも怖いのは、あの方に「認識」されること。

要するに、最悪、あの方の視界に入らなければいいのだ。
大丈夫、まだ何とかなる。

「すみません、実はその、えっと、これから新作メニューのために琉璃百合の観察をしなければいけないのでこれで失礼しますね！！！」

「えっ？」

すみません常連さん。すみません店長。
私史上最大の危機です。許してください。

橋の近くにある大木の後ろ、琉璃百合が生えている辺り。
そこなら色々なものが視界を遮ってくれるはずだ。

恐らく三周目史上最速のスピードが出たと思う。
木の後ろに飛び込むその瞬間、視界の端に旅人さんとパイモン。
そして、

＿＿＿＿＿深い茶の衣装を纏った長身の男性の姿が映った。

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