赤「結婚しないか？」貴「…無理」…数日後…貴「やっぱり結婚して！」赤「は？」5th.【赤司征十郎】

marry me?…015. ページ15

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何かが割れた音が聞こえ、ふと我に返る。



眼前には、
大粒の涙を流すAがいて。






貴「……っ、なんか、もぅっ……わかんなく、て…っ…」

赤「…っ、すまない……」






僕は掴んでいたAの両腕を離した。


リビングにAのすすり泣く声だけが響く。







貴「…ひっく……っ、すきに…なっちゃったら、うまく……いか、ないこと…っ、わかってたのに…」

赤「……なんの話をしてるんだ…？」




貴「…せぃ、ちゃ、は……っ…あたしの…こと、すきじゃ、ない…んでしょ…」







何故だ…？



何故、Aはそんな風に思うんだ。







赤「そんなわけないだろう？」

貴「っひ、く…っ、うそ、つき……」

赤「僕が今まで嘘をついたことがあった？」




貴「……っ、もぅ、よく…わかんない…っ…」








“よくわかんない”ってなんだよ。


どうして信じてくれないんだ……








赤「……今までのことも全て、嘘だと思ってるってこと？」


貴「………」








黙るってことは、
そう思ってるってことか……







赤「ははっ、そうか。……分かった。元々、偽装結婚なんだしうまく行くはず、…っ、」







パシン、と乾いた音がしたと同時に
頬に痛みが走った。







貴「…なん、で…っ、そんなことっ……」

赤「なんでって、本当のことだろ？」








だめだ……


止まらない。







赤「もういいよ。Aの全てを捧げろと言ったけど、もういい……捧げなくていい…」







そう言ってAに背を向ける。




Aが出て行く音だけが
やけに大きく聞こえた。




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