お嬢様な君と執事な俺 (ページ14)

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Ren side.

華道の稽古に行く愛しい人を見送ったあと長い廊下を歩いていたその時

前には数日前からこの屋敷に居座っているあいつの姿。

話しかけられることはないだろうと思って通り過ぎようとした俺にぽつりと呟く。

「家を飛び出してまで叶えた"敏腕執事"と言う座を捨ててまで、Aが欲しいの？」

足を止め紫耀に言われた言葉からいろんなことを思い出す。

せやな、執事に憧れ今では敏腕と言われるまでに成長できたよ

『捨てへんよ』

ふっと笑みを浮かべて口を開いた。

赤城家の令嬢、赤城Aをこれからも執事として守り、パートナーとしても守る。

欲張りな俺はどっちの座も欲しいと思ってしまう。

『それに、Aは俺を選んでくれる』

さっきの彼女の言葉を思い出し自信満々に答える俺に眉間にシワを寄せ低く発する。

「馬鹿馬鹿しい、今更平野に戻れるなんて思うなよ」

何も発することない俺に紫耀はため息を残し踵を返す

『紫耀。

Aのこと俺から奪えるもんなら奪ってみろや』

紫耀の背中に今言える精一杯の言葉をぶつける

｢どんな手を使ってでもAは渡さない。

廉、いずれ自分のその発言に後悔する時が来るよ。｣

今思えばこの時の俺は周りが見えてなかったんやと思う

Aとことばかりで紫耀のことすら見えてへんかった

だからやろうな、あんなことになってしまうとは思ってもみんかった。

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