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第9話 ページ10

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坂田さんはニコニコ笑って私達を手招きする。




「今なセンラがお菓子作ってんねん!二人も食べよー!」
「へぇーそうなんや。今日はなんやろうな。」



ガタンと坂田さんの斜め前の席に座る志麻さん。



「あっ、ええと…」



どこに座ろうか迷っていると、志麻さんがポンポンと隣の席を叩く。




「はよAちゃんも座りーや。」
「……じゃあ、お言葉に甘えさせて…」




迷っていたし、ここはお言葉に甘えよう。
恐る恐る志麻さんの隣の椅子に座ると、坂田さんが顔を顰めた。




「何でまーしぃそんなAちゃんだけ優しいん。俺らの時そんなんちゃうくせに。」
「いやいや女の子なんやからこれぐらい普通やろ。」




ケラケラと笑いながら坂田さんと話す志麻さん。不躾ながら志麻さんをじっと見てしまった。


「(…あっ、今更だけど志麻さん八重歯なんだ。)」




笑った時に少し見えた八重歯が志麻さんに似合っていて少し可愛いなと思った。



「(………あれ?)」





何で私…さっきから志麻さんに対してこんな事ばっかり……。




「…変な私だな。……!ふふ。」




ふと下を見るとやまだぬきちゃんがスヤスヤと心地良さそうに私の腕の中で眠っていた。微笑ましくてやまだぬきちゃんを起さないように頭を撫でた。






_____志麻side



坂田と雑談している時に気づいた。Aちゃんが一言も話さない事に




「(うわっ…!最悪やん俺!なんで早くに気付けへんかってん!)」




Aちゃんとも喋りたいが、坂田の話が止まらない。
坂田の話に相槌を打ちながら、チラリと横目でAちゃんを見た。




その瞬間俺はドキッとした。
眠ってしまったやまだぬきを微笑みながら頭を撫でているAちゃん。
坂田の声なんて聞こえへんくなって俺はAちゃんに見惚れていた。




優しく揺れている瞳。
スっとした鼻。
ほんのりピンク色の唇。
サラサラとした髪から見える耳。
やや膨らみのある胸。



思わずじっと見つめていた。



「……しぃ。まーしぃ?」




ハッと我に帰り、坂田を見るとジトリとした目で俺を見ていた。




「俺の話聞いてた?」
「あーごめん聞いてなかったわ。」
「もー!!」
「すまんかったって。」




むくれる坂田に謝罪をしている時も俺は先程見た光景が頭にチラついて仕方なかった。

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作者名:LieN | 作成日時:2016年10月16日 18時

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