心の氷２〜愛され魔導士は最強美女〜

７４度 ページ35

朝、Aは重い足を動かして家に帰った頃だった。評議員からの特別依頼の闇ギルド殲滅を終えようやくついた愛しの我が家は暖かく迎えてくれている気がした。


「ふぅ…」


ソファーに寄りかかると瞳を閉じて体の力を抜く。
Aの体は昔に睡眠を忘れた。今では少しの休憩があれば生きて行ける。
これを"突然変異"と呼ぶ者がいれば"特殊能力"と呼ぶ物もいた。
だが本人いわくもう"人ではない"と考えていた。
だって、睡眠は人間の欲だ。それがないということはもはや人間失格ではないのだろうか？そして型破りした五感と直感。もはや人とは呼べない。


ガチャッ

「…」


その時扉の開く音がしてAは瞳を開けた。
そういえば鍵を閉めただろうか。感覚を研ぎ澄ましその時を待つ。魔力が部屋を駆け回りAを包む。
そして物陰からそれが姿を現した。


「お、A…」

「…グレイ。」


姿を現したのは上半身裸のグレイ。Aは姿を確認すると一気に雰囲気が柔らかくなった。


「やっぱ早起きだな。」

「それだけが取り柄だからね」


そういうとAは笑った。その後ろに強大な悲しみや痛みがある事をグレイは知ってる。

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