in栗井栄太邸 ページ7
ＮＯside
「
食卓テーブルを囲んで、腕を組んだ神宮寺が重々しく切り出した。
「なによ、神宮寺ちゃん。わたしは締め切りでいそがしいのよ」
酢コンブをしゃぶりながら麗亜が不満げに言う。目の前には駄菓子の山。
「そうだよ、いきなり呼びだしてなんのつもり？」
神宮寺の向かいに座るジュリアスが聞いた。
「ああ、それに関してはすまなかったな。でも、大事な用なんだ」
その一言に、二人は静かになる。もっとも、麗亜がだまったのはマシュマロを食べはじめたからかもしれないが。
「いったい、どうしたの？」
ジュリアスの問いに、神宮寺はニヤリと笑った。その笑みに背筋がゾクッとするジュリアス。
神宮寺は、便せんと封筒を机に出して、すべらせた。
二人の視線がそれに集まる。
「怪盗クイーンから、予告状が届いた」
一瞬の間があった。
「怪盗クイーンって……あの、フランスで有名な怪盗？」
「ああ。神出鬼没、大胆不敵といわれている怪盗クイーンだ」
「イタズラの可能性はないの？」
麗亜が練り梅を食べながら神宮寺を見る。神宮寺は首を振った。
「イタズラにしては、大げさすぎる。
それに、おれたちが栗井栄太で、ルージュ・レーブを持っていることを見抜いてるんだぜ。少なくともただものじゃないだろ」
「……でも、ルージュ・レーブを盗んでどうする気なんだろう？」
「さあな。鍋敷きにでもするんじゃないか？
おれたちは今はＲ・ＲＰＧに夢中だし、もしクイーンが盗むならそっちだと思ったんだがな……。やっぱりまだ、完璧じゃねえんだな」
神宮寺のため息に、ジュリアスが反論する。
「ちょっと待ってよ。Ｒ・ＲＰＧを盗むっていうのは、月を盗むぐらい不可能に近いよ」
「怪盗なら、それぐらいできるだろ」
理解不能といった感じで沈黙するジュリアス。
「Ｒ・ＲＰＧならともかく、ルージュ・レーブならあげてもいいと思ったんだが……こう欲しがるやつがいたら、渡したくなくなるな」
子どものような発言に、二人はそろって頭をかかえる。
「とにかくなんとか、対処法を話しあいたい」
ジュリアスが手をあげる。
「……あの、警察を呼ぶのが一番いいと思うんだけど」
「二十五点。警察はダメだ。クイーンは変装の名人らしいから、紛れこまれる可能性がある。それに、あいつらには任せられねえ。おれたちが守ってこそだろう？」
そう否定する神宮寺の顔は、何度も職質された思い出による国家権力への不信感に染まっていた。
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鳥羽(プロフ) - 夜巣雅さん» わざわざ長文ありがとうございました。とても温かみのある内容だったのでとても嬉しかったです。丁寧に読ませていただきました！わたしの小説で、はやみね先生に興味をもたれる方がいるだけで、これからも更新の励みになります！これからも、更新頑張ります！（≧∇≦） (2017年10月20日 19時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - 桜さん» 返信遅くなりすみません、コメントありがとうございます！これからも更新頑張りますね！(⌒▽⌒) (2017年10月20日 19時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
夜巣雅 - 前文の続きです。とても面白い内容で夢中になって読みました。この作品がきっかけで、はやみね先生の作品も読んで見たいと思いました。興味を持つきっかけを与えてくれてありがとうございます。これからの更新も頑張ってください！長文失礼いたしました。 (2017年10月18日 23時) (レス) id: b52001774d (このIDを非表示/違反報告)
夜巣雅 - はじめまして。つい最近読み始めた者です。最初、別のトリップ作品を読んでいた時に下の関連のところで鳥羽さんの作品を見つけました。元々はやみね先生の作品を知らなかったので「はやみねキャラ？何のキャラだろう？」と興味を持ち、鳥羽さんの作品を読んでみました。 (2017年10月18日 23時) (レス) id: b52001774d (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - ナツさん» きゃー！嬉しい言葉をありがとうございます！まだ好きでいてくれるなんて（≧∇≦）！私生活が忙しい中本当にこの言葉は励みになります(^^)これからもナツさんの言葉を胸に、更新頑張ります！コメントありがとうございました！！！ (2017年9月14日 22時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年7月30日 13時
