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ごとん、と車体が揺れた。
『…………だいふぞく………………駅…………りっか………………ちゅうがっこ…………駅……』
変わらず、ノイズまみれの放送が駅名を告げる。Aは静かに立ち上がり、ホームへと降り立った。
こうして、駅に立つのもすっかり当たり前になった。Aは慣れた足取りで階段を下り、改札を出る。
絶えず潮の香る風を受けながら、道を歩く。まるで、夢遊病者のような足取りで。
(……!)
学校へ入ると、すぐそこに幸村がいた。そのまま吸い込まれるように、幸村の元に歩み寄る。
「……ゆきむらくん……」
「いらっしゃい、水那月さん。」
幸村はそう、Aの肩を抱いて笑った。
その姿を睨みつける、コートの向こうで光った目。
「……っ。」
ぎゅ、と心が痛む。切原はひとり、手の中でボールを握りしめた。
(っ……くそっ……)
黙っていろ、と何度も念を押すように言われた。
それでも、それでも。
(見て見ぬふりなんて、できるわけねえだろ……!)
これから何が起こるかなんて、自分にはわかっているから。
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I like choco - 面白すぎます!心臓バクバクいってるんですけどどうしたらいいですか? (2020年6月28日 20時) (レス) id: 46acbe60c7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 海底学校・・・行ってみたい(*´▽`*) (2017年6月9日 19時) (レス) id: baf811e79e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - これ素敵です!! (2017年1月30日 0時) (レス) id: c6154ab521 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - まゆさん» ダメですよ帰れなくなっちゃいますよ!! (2015年10月17日 23時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - うー....でも仁王君ドンッってされてみたいです....w (2015年10月17日 22時) (レス) id: 8478a5faa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年9月22日 22時